alan symphony 2010 レビュー:alan 2nd concert(1)

alanの日本で2回目のコンサートツアー『alan symphony 2010』2010/07/16大阪公演のレビュー(1)。レビュー(1)では全般的な感想を書きたい。
alanは、中国四川省美人谷出身で、エイベックスが中国で行ったオーディションでスカウトされ、2007年『明日への讃歌』で日本デビューを果たした美人女性歌手。ジョン・ウー監督の映画『レッド・クリフ』『レッド・クリフ PART II』の全世界主題歌を歌ったことで有名。
今回のコンサートは『alan symphoy 2010』のタイトルどおり、ストリングス・アレンジに重点をおいた歌い上げバラード中心の、とてもリッチで濃密な構成。
開演前は会場にドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』が厳かにかかっていた。
舞台上手には、一般的なポップス・バンド(ギター、ベース、ドラムス、キーボード)。下手には、グランドピアノと梶谷裕子ストリング(バイオリンからチェロまで)と、ぜいたくな編成。否応なしに期待がふくらむ。

ちなみに梶谷裕子氏は、弦一徹ストリングスのメンバーでもあり、鬼束ちひろ『DOROTHY』のクレジットにも登場する。やはりJ-POPのストリングスの世界は狭いようだ。
コンサート全体の構成、舞台装置、照明、衣装などの演出は、alan自身の歌唱力も含めて、さすがエイベックス、エンターテインメントとしての完成度の高さは素晴らしい。
衣装は3パターン。最初は鮮やかなマリンブルーの、ウエディングのように大きくすそがふくらんだ美しいドレス。次は淡いピンク(だと思う)のタイトなロング丈のドレス。アンコールをはさんで、アップチューンのコーナーでは、純白の短い丈のドレスに、白い花の髪飾り、白のショートブーツ。
ヘアスタイルも衣装に合わせて変わり、どの衣装も彼女にぴったり。やはりalanは、その歌唱力と声量も合わせ、舞台で圧倒的な存在感を放つ歌手であることに間違いない。
ただし、あえて苦言を書かせて頂ければ、舞台の完成度を唯一減じていたのが、曲間の日本語によるおしゃべり(MC)だ。
「alan家族」と呼ばれ、彼女を溺愛するalanファンは、彼女がどんな失敗をしても、彼女がプロの歌手であっても許すだろう。でもそれは彼女を甘やかし、日本での成長と成功のチャンスを奪うことになりかねない。
彼女が長く日本で歌いつづけるには、日本語力は絶対に必要だ。「alanの下手な日本語がかわいい」と言うのは、彼女に対して「日本で努力して成功しなくてもいい」と言うのに等しい。
具体的に今回のライブで気になったのは、alanが来日して3年経つのに、まだ日本語に時制があることを理解していない点。(中国語にはアスペクトはあるが時制がない)
例えばalanは今回のライブの3曲目の後のMCで、NHK大阪ホールの観客に次のように話しかけた。
「alan、皆さんに会うの、楽しみです。皆さんも楽しみですか!」。
もちろん正しくは...
「alan、皆さんに会うの、楽しみでした。皆さんも楽しみでしたか!」
目の前にいる相手に「会うのが楽しみです」とは言わない。他にも曲間に何度かMCがあったが、初めてalanのライブに参加して、これほど彼女のMCの日本語が下手だとは思わなかった。
大阪公演だからといって、「おおきに」を連発しておけば観客にうけるというのは、大阪人からするとしらけるだけで、標準日本語も話せないalanが、無理に大阪方言を話す必要はない。
コンサートの曲紹介にしても、観客とのかけ合いにしても、話す内容はだいたい決まっているのだから、今のalanの日本語のレベルを考えれば、事前に台本を作ってはどうか。その手間を省いてまで、あえてalanに下手な日本語をしゃべらせる理由がよく分からない。
あれだけ舞台演出や、照明、衣装の完成度を高める時間があるなら、MCの台本を事前に日本人スタッフが作る時間くらいはあったはずだ。
ちなみに2010/7/16大阪公演は、会場で当日券を販売しており、結局完売しなかった。1階席だったので1階の様子しか分からないが、1階後方、左右の壁に近い部分は空席が目立った。
事前にセットリストの一部を意図的に「リーク」しておけば、ネット時代なのだから口コミで情報が広がってチケットはもっと売れたかもしれない。
alanのライブがテレビで宣伝する予算をつけられないのなら、ネットの口コミ・マーケティングを利用しない手はない。エイベックスのスタッフの考え方は、意外に古いのかもしれない。
(つづく)
※alan:2ndライブ『alan symphony 2010』関連記事
「alan:2ndライブ『alan symphony 2010』レビュー(1)」
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