alanは今のままでは日本でブレイクできない

alan、エイベックス所属の中国四川省美人谷出身の歌手。『レッドクリフ』の主題歌を歌ったが、いわゆるF1層と言われる20~34歳の女性には、ほとんど知られていない。今となっては月9で木村拓哉と共演したリン・チーリンの方が有名だろう。

alanは地元の中国大陸でもアルバムを2枚出しているが、ファンは学生が中心で、明らかに実力派アイドルとして徐々に人気が出てきている。
日本ではalanは決してアイドルではない。実力派新人歌手だ。
2007年のデビュー当時、新宿タワレコのミニライブに行ったことがあるが、alan目当てで集まったファンのほとんどが中年男性。若い男女はほぼ皆無。
今は『AneCan』モデルもやっているので、少しずつ若い女性ファンも増えてはいるだろうが、ファンの中心はおそらく相変わらずアラサー男性に違いない。
まずF1層に売れるには、バラエティー番組に出て、日本語で面白いことが言えないことには問題外だが、alanの日本語力は、例えばローラ・チャンと比較すると全然ダメ。
先日出演したNHKの環境番組『SAVE THE FUTURE』でも、イアホンからの同時通訳を頼りに、何とか出演できていたという印象。
そしてalanのデビュー当時からのメッセージが「愛と平和」「音楽に国境はない」というのも、非常に残念ではあるが、大多数の日本人にとってほぼ説得力を持たない。
偏差値の高くない大学生でも(だからこそ?)、中国が北朝鮮の味方だということぐらいはニュースで聞きかじっている。
alanの名前さえ知らない日本人の若者は、alanがチベット族だということに興味はない。
alanがチベット族であることで初めて「愛と平和」という、彼女のメッセージ性に意味が出てくる、なんていうむずかしいことは、日本人の若者に分かるわけがない。
そもそも日本人の若者で「アジア」に興味がある人たちは、ほぼ韓国にしか興味がない。特にF1層で「アジア」のポップスに興味がある女性たちは、ほぼ韓国アイドルにしか興味がないと言っていい。
日本語もできないし、メッセージ性も日本の現代の若者文化のコンテクストと完全にズレているし、アイドルでもない。
容姿端麗なだけなら、alan並みの美人は日本人に山ほどいる。
歌の上手さだけなら、alan並みに歌の上手い日本人歌手も山ほどいる。
そんなalanを、エイベックスは一体どうやって日本でブレイクさせるつもりなのか、僕としては非常に興味がある。
わざわざ日本でデビューさせ、ろくに日本語の勉強もさせず、シングルを13枚もハイペースで出し続けるからには、誰も思いつかないような秘策を隠しているに違いない。
ただ、僕にはエイベックスがどうやってalanを日本でブレイクさせようとしているのか、全く想像がつかない。少なくとも彼女に日本語の詰め込み教育をさせていない点で、全く想像がつかない。
日本語のできない20代の中国人歌手が、過去、日本の若者の間でブレイクした例がないことくらい、エイベックスは知っているはずだからだ。
この「alan問題」、僕にとっては考えれば考えるほど、「日本語が話せない限りalanが日本でブレイクするのは不可能」という結論にしかならないのだが、エイベックスのスタッフの皆さんはどう考えているのだろうか。
意外に、あまり考えず、単なるノリで仕事してたりして。