口蹄疫問題にみる偏向報道やデマの恐ろしさ

宮崎県の口蹄疫で、こんなふうに政府を非難している人が大勢いる。
「2010/05/13になるまで政府は種牛の避難を許可しなかった。宮崎の畜産業を破滅させる気か!」
しかし政府が種牛の避難を許可しなかったのは、口蹄疫の感染拡大を防ぐための法律に基づいた当然の措置だ。
このとき地元が政府に避難を求めたブランド牛「宮崎牛」の種牛は、口蹄疫発生農家と2キロ程度しか離れていなかった。この種牛を移動させれば、口蹄疫の感染拡大のリスクは確実に高まる。
(※このあたりの事実は「口蹄疫で宮崎牛の種牛避難、国も特別許可」〔九州読売新聞〕を参照のこと)
結局、政府は地元の要求をのんで、特例として種牛6頭を宮崎県西都市(さいとし)に移動することを許可した。これが2010/05/13のことだ。
その後、何が起こったか。農林水産省ホームページのこちらの資料の、10ページをご覧頂きたい。
「宮崎県における口蹄疫の発生事例の防疫措置の状況」(農水省HP)
それまで、ほぼ児湯郡川南町への封じ込めに成功していた口蹄疫が、2010/05/21に、何と種牛を移動した西都市に拡大している。この日、肉用牛200頭が埋却処分され、同日、同市でさらに肉用牛1頭、その2日後の2010/05/23にも同市で肉用牛165頭に、口蹄疫の感染が確認され、殺処分または殺処分予定となっている。
地元の強い要求をのんで、政府が種牛を西都市へ移動することを認めてしまったために、口蹄疫は拡大してしまった。これこそ政府の失策である。
ところが、こともあろうに「政府が2010/05/13まで種牛の移動を許可しなかったために宮崎県の畜産業は危機に瀕した」と、政府を非難している人々がいる。
さらに、政府が種牛の移動を2010/05/13まで許可しなかったのは、民主党政府が韓国政府と共謀して、日本の畜産業を破滅させようとしているからだと、子供じみた陰謀説を書き散らしている人々までいる。
今回の口蹄疫騒動で、かなりの人数の国民が、民主党政府=悪、宮崎県=被害者、という図式を、産経新聞系列の偏向報道や、2ちゃんねるレベルの低水準のデマによって、いとも簡単に刷り込まれてしまっている。
Yahoo!ニュースやミクシィニュースの口蹄疫報道に対する、ネット利用者のコメントをご覧になるとよい。9割以上が「民主党政府=悪、宮崎県=被害者」の図式を刷り込まれた、哀れな人々で占められている。
この現実を目の当たりにして、日本が大本営発表に基づいて中国や韓国と交戦状態に入るのは、何十年も先の話ではないような気がしてきた。
ナチスのように、民衆の感情に訴えて排外主義をとなえる極右政党が台頭するのも、時間の問題かもしれない。じつに恐ろしいことだ。