iPadの電子書籍が世界を変えると大騒ぎする愚かな人たち

iPadに関するマスコミのバカ騒ぎについては、特にもうあれこれ言う必要もないだろう。
夕方のニュースを見ていると、テレビ局の記者が、町の商店街の本屋の主人にiPadで電子書籍が読めるのを見せて、「こんなのが出たんじゃ、本がますます売れなくなるね」と想定どおりのコメントをとる。
そして、iPadを買うために行列を作っている一般人に、「iPadで世界が変わりますよ」と、恥ずかしいコメントをとる。
新しいモノ好きが、iPadのような新製品が出るたびに、世の中がひっくり返るようなことをふれて回るのは、いつものことだ。
町の商店街の本屋で本が売れなくなったのは、iPadが登場する前からすでに始まっていたことで、僕が推測するに以下の諸点が主因だ。
(1)そもそも読書人口が減って、読書時間がテレビゲームやDVD鑑賞など、他の娯楽にとられてしまった。
(2)本を買う人はみんな、大手流通業の大型商業施設にある大型書店に行くようになった。
(3)ブックオフで安く買えればいいという読者が増えた。
(4)マンガはマンガ喫茶で読めばいいという読者が増えた。
(5)アマゾンなど、ネットでマイナーな本が買えるようになった。
(6)アマゾンやブックオフなどで、個人が古書を売れるようになった。
これらの要因で、町の商店街の本屋に立寄るのは、そこがふだんの生活動線になっている人に限られてくる。
つまり、自転車に子供を乗せて買い物に行くときに、必ずその本屋の前を通るとか、最寄り駅から自宅までの道にたまたまその本屋があるとか、そういう人たちが、ふと思いついて、書籍や雑誌を衝動買いをする場合に限られてくる。
逆に言えば、iPadやキンドルが登場したからといって、書籍販売の下落傾向に拍車がかかるわけでもないし、もちろん逆転上昇するわけでもない。
書籍販売が落ちているのは、閲覧手段の技術革新によるものではなく、流通経路の変化によるものだからだ。そして、流通経路の変化は、すでに15年くらい前から着々と進んでいる。
テレビのようなマスメディアは、なぜそういう冷静な報道ができないのだろうか。きっと、頭の悪い視聴者が、自分たちの思いどおりに、騒いでくれるのが、楽しくて仕方ないのだろう。