「非実在青少年」問題でコミケ主催者と警察の間に「裏取引」?

ご承知のように「非実在青少年」問題で、規制する側がねらい撃ちにしたいのは、いわゆる同人誌や同人ゲームに含まれる児童ポルノだ。この種の同人誌などが大規模に取引きされるのが、コミックマーケット(以下コミケ)である。
当然、コミケ主催者側もバカではないので、既存の法令、わいせつ物陳列罪や青少年保護条例のゾーニングは守っている。
ただ、「非実在青少年」なる奇妙な概念を考え出した東京都も、児童ポルノを含む同人誌に販売機会を提供しているコミケ主催者も、権力欲の点で大差ないのではないか。
それは、コミケ主催者が、コミケのコスプレコーナーで、勝手に警察権を行使していることからわかる。
コミケ主催者は会場を確保するために、警察と「裏取引」をしているのでは、というのが僕の推測だ。
(※ただし僕がコミケに行ったのは約10年前の一度きりなので、以下の記述が今は違っていたらご指摘ください)
大前提として、コミケのコスプレコーナーは、柵やロープで一般人が入れないように囲まれ、コミケ主催者の管理下にあり、公園や電車の中のような公共の場所ではない。ファッションショーの会場みたいなものだ。
コスプレコーナーには、水着のような露出度の高いコスチュームの女性コスプレイヤー(以下レイヤー)もいる。彼女らには当然カメラ小僧(以下カメコ)が群がって撮影する。
カメコは無断でコスプレコーナーに侵入しているわけではない。コミケ主催者の自主ルールに従い、場合によっては有料で入場する。
また、レイヤーは自分の意思で露出度の高いコスチュームを着ており、カメコの被写体になることも了解の上で、コスプレコーナーに参加している。
ただ、コミケ主催者の自主ルールとして、カメコはレイヤーに許可を得てから撮影することになっている。
ただ、不思議なことに、コスプレコーナーの片隅にはテントの事務所があり、そこでコミケ主催者のスタッフに、説教や、場合によっては怒鳴られているカメコの姿を目にすることができる。
これこそ、コミケ主催者が国家に無断で警察権を行使している現場だ。
では、カメコは一体何をすると、コミケ主催者に迷惑防止条例違反で「現行犯逮捕」され、「取調べ」を受けることになるのかを説明しよう。
カメコがルールに従い、レイヤーに許可を得てカメラを向ける。そのとき、レイヤーの顔が写らないほど胸元をアップで撮影したとする。
これだけで、コミケ主催者はこのカメコを「現行犯逮捕」し、「取調べ」できるのだ。
どの程度アップにすれば捕まるのかは、コミケ主催者のスタッフ一人ひとりが、確たる根拠もなく、勝手に決められる。
何が「ポルノ」なのかの線引きを、国家権力が勝手に決められるのと同じだ。コミケ主催者は国家権力によく似ている。
コミケ主催者がカメコに対して行う「取調べ」とは、「二度とやりません」という誓約書に署名・捺印させ、写真の記録されている媒体を没収するというもの。言うことを聞かないと、警察に突き出すぞと脅迫される。
こうしたコミケ主催者の「現行犯逮捕」と「取調べ」には、2つの問題点がある。
まず1点め。
コスプレコーナーは、上述のように公共の場所ではなく、カメコはレイヤーの許可を得て撮影している。
しかも、カメコはスカートの中を覗いたり、赤外線撮影をしたわけでなく、通常の視野で見える一部を拡大しただけだ。全身を撮影しておいて、後からパソコンで一部を拡大しても同じことだ。
これだけで迷惑防止条例違反とするのは明らかに無理がある。コミケ主催者による、迷惑防止条例の勝手な拡大解釈である。
次に2点め。こちらはコミケ主催者の致命的なミスだ。
コミケ主催者がカメコの身柄を拘束するなら、刑事訴訟法第213条にもとづく一般人による現行犯逮捕にあたるので、同第214条に従い、ただちに警察に身柄を引き渡さなければならない。
したがって、コミケ主催者がカメコを「現行犯逮捕」した後、警察に引き渡すぞと脅しつつ、誓約書を書かせ、財産(記憶媒体)を没収し、放免するのは、刑事訴訟法にある一般人による現行犯逮捕にあたらない。
ただの恐喝である。
別の例で、言い換えてみよう。
たとえばあなたが男性だとして、駅の階段で女性のスカートの中を覗いたように思われたとする。それを目撃した一般人男性に、「迷惑防止条例違反だ!」と手首をつかまれ、隅の方に連れて行かれたとしよう。
そして住所や名前を聞かれ、「一万円よこせば警察には黙ってやる」と言われ、あなたが一万円支払うと、その男は去っていったとする。言うまでもなく、これは単なる恐喝だ。
コミケ主催者がコスプレコーナーでやっているのは、これと同じ恐喝なのだ。
同人誌関係者はヒステリックに反論するかもしれないが、コミケ主催者がコスプレコーナーで上述のように、カメコを相手に組織的に恐喝をくり返していたのは、れっきとした事実である。(少なくとも約10年前の夏コミでは)
このようないい加減なコミケ主催者が販売の場を提供している同人誌がきっかけとなり、「非実在青少年」のような奇妙な概念が考え出され、われわれ国民の表現の自由がおびやかされるのだとすれば、いい迷惑である。
僕は、同人誌作者の表現の自由は守られるべきで、規制としては、既存のわいせつ物陳列罪とゾーニングで十分だと考える。
しかし、組織的にカメコに対する恐喝を行っているコミケ主催者の権力欲は、「非実在青少年」なる概念で表現の自由を規制したがっている人々の権力欲と大差ない。
ところで、コミケは東京ビッグサイトなど、自治体や第三セクターの施設が会場になっている。民間企業はオタクのイメージを嫌って会場を貸さないからだろう。
僕はここがあやしいと思っている。
実はコミケ主催者と警察の間に、風俗店と警察の間のような「なれ合い」の構図があるのではないかと、勝手に推測しているのだ。
そうでなければ、コミケ主催者が公然と組織的に恐喝(違法な警察権の行使)を行なうような事態を、警察が放置するはずがないからだ。
僕の推測が本当だとすれば、「非実在青少年」問題に関して、一般人はとんでもない猿芝居に付き合わされていることになる。
東京都の選んだ有識者は、同人誌を自主検閲する権力を、コミケ主催者から、新たに設立する自主検閲機関に移して、その自主検閲機関を警察OBの天下り先にしたいのではないか。
コミケ主催者は同人作者による自主検閲を、新たな検閲機関にゆだねる代わりに、今後もコミケ会場を安定的に確保するとともに、コミケ会場内で「恣意的に」警察権を行使することに目をつぶってもらう。
そういう裏取引が、コミケ主催者の全国団体と、警察の間に成立しているのではないか。
コミケのコスプレコーナーで、コミケ主催者スタッフに恐喝されているカメコを見た限り、そんな臭いがする。あくまでこれは僕の単なる推測に過ぎないことを、最後にくり返し断っておく。