鬼束ちひろ『ONE OF PILLARS』の選曲にこめられたメッセージ

鬼束ちひろベストアルバム『ONE OF PILLARS』(2010/04/28発売予定)について、新曲が「惑星の森」1曲だけで、しかもこのタイミングでベストアルバムってどうなの?的なことを、先日書いてしまった。

ただ、少し考えなければいけないことがあると思った。
それは、鬼束ちひろが復帰後の『BARFOUT!』147号のインタビューで、次のように話しているからだ。
「前の3枚出したアルバムの中でも、『これはもう歌えないな』っていう曲とかあるから。例えば、中島みゆきさんとか、昔の歌もずっと歌ってるじゃないですか?そういう感じになれたらいいなと思うんで。だから、詞への思い入れも、前とは変わったかも」
既出のベスト盤が鬼束ちひろ本人の意思と無関係に、レコード会社の都合で発売されたのに対し、『ONE OF PILLARS』は鬼束ちひろ本人の意思で発売される、初めてのベスト盤ということになる。
つまり、『ONE OF PILLARS』の収録曲こそ、鬼束ちひろ自身が、これからもずっと歌っていきたい曲だと考えていいだろう。
そう思って改めて曲目リストを見ると、なるほどという感じがする。
1. 月光
2. 眩暈
3. 流星群
4. infection
5. King of Solitude
6. Sign
7. 私とワルツを
8. Rainman (LAS VEGAS version)
9. everyhome
10. 蛍
11. X
12. 惑星の森(新曲)
13. 帰り路をなくして
14. 陽炎
この選曲で目立つのは、3枚目のアルバム『Sugar High』からは「King of Solitude」の1曲しか選ばれていないということだ。
これは僕の勝手な想像だが、『Sugar High』の「Castle・imitation」のような歌詞の曲は、鬼束ちひろの言う「これはもう歌えないな」という曲の代表的なものだと思う。
「Sign」は鬼束ちひろ自身、脚本家になったつもりで自分自身と距離を置いて書いた曲だと話しているが、「降りてきた」曲よりも、自分をある程度客観的に見つめながら書かれた曲こそが、彼女の言う「ずっと歌える曲」なのだろう。
鬼束ちひろファンは、この『ONE OF PILLARS』の収録曲を見て、「これがあたしがずっと歌っていきたい曲たちです」という彼女からのメッセージだと解釈するのが妥当なのではないか。
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※なお、鬼束ちひろについてツイッターでつぶやくときのハッシュタグは #onitsuka に決まりました。