勝間和代に見えていなくて、香山リカには見えているもの

勝間和代には何が見えていないのか?しつこいようだが考えてみたい。
勝間和代は方法論さえ提示すれば、誰でも成功できるという思想の持ち主だ。
しかし世の中には、「やればできる」と分かっていても、やる気がどうしても起こらない人たちがいる。それがひどくなると「うつ病」の行動抑制という症状になり、最悪の場合、寝たきりになる。
勝間和代はこういった人たちが、世の中に相当数いるという事実が見えていないか、あえて無視している。
勝間和代は、もともとやる気があり、成功する可能性のある人に、近道を教えているだけのことだ。
勝間和代の言うとおりにしても成功しない人がいるのに、彼女は「誰でもやればできる」と言う。こういう人を普通は「嘘つき」や「詐欺師」と呼ぶ。

香山リカの診療室には、「やればできる」と分かっていても、やる気がどうしても起こらない人たちばかりが訪れるわけだ。なので香山リカには、勝間和代の限界が見えている。
『しがみつかない生き方』とは、人が自らの限界を認識し、その範囲内で無理なく生きていくことのすすめである。
勝間和代と香山リカの言っていることの、どちらがより多くの人にとって現実的な幸福であるかは、言うまでもないだろう。香山リカの方が、より現実的で実現可能性の高い生き方を提案している。
世の中には、自分の力と無関係なところで、どうしても恵まれない生活環境にある人もいる。いわゆる「成功」することだけが、生きる意味ではないと考える人もいる。
香山リカの思想は、個人ではどうにもならないことまで、個人の責任にしないし、人それぞれ生き方が異なることを許容する。
勝間和代は、「だれでもやればできる」のだから、勝間和代自身がいくら否定しようが、「できないのはその人の責任だ」というメタ・メッセージを送っている。
そして「成功」という言葉の意味がなんであれ、「成功」しなければ生きる意味がないと訴えることで、人の生き方がそれぞれ異なることを許容しない。
勝間和代と香山リカのどちらの考え方が、より倫理的かと言えば、必然的に香山リカの考え方だということになる。
勝間和代の思想はエリートによるエリートのための思想で、香山リカの思想はエリートによる万人のための思想だ。
勝間和代の思想は小乗仏教的で、香山リカの思想は大乗仏教的だ。
勝間和代の思想はユダヤ教のラビ的で、香山リカの思想はキリスト的だ。
勝間和代の思想は近代的で、香山リカの思想は脱近代的だ。
勝間和代は、ほとんどの人が努力すれば報われた、古き良き高度経済成長時代の亡霊にとりつかれた、時代錯誤の自己啓発著述家である。
香山リカは、まがうことなき現代の著述家である。

勝間和代に見えていなくて、香山リカには見えているもの」への5件のフィードバック

  1. うつ病ブログ(メンタルヘルスの広場)

    うつ病による休職って、心の状態によって良い面と悪い面とある気がします。そのときの病状やその会社の規定にもよりますが。

    うつ病による休職を経験したわたしも含め、うつ病のため休職した経験のある方や現在休

  2. メモノメモ

    「勝間さん、努力で幸せになれますか」勝間和代・香山リカ 書評

    勝間和代さん・香山リカさんの対談をまとめたもの。
    「AERA」2009年10月12日号と「週間現代」2009年10月31日号から一部再掲載。
    対談記事があったと噂に聞いてどういう対談になったのか気になっていた。
    先日、書店店頭で見かけたのでさっそく購入して読んでみた。
    いろんなところで平行線だが、自分なりに二人それぞれの著書を読んでみて不完全燃焼していたいくつかの燃え残りがスミになったように感じた。…

  3. 政治

     いつも楽しくいることが大切

    楽あれば苦あり、苦あれば楽あり。とよく言います。
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    いつも楽、これが目指すべき正しい状態だと思います。
    しかし、実際は難しく楽有り苦有りの生活にどうしてもなってしまう。
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     …

  4. 政治

     陸自幹部の政権批判…「誤解招く」「危機感から」

    中沢剛1等陸佐には厳しい処分が必要だと思います。
    自衛隊員や軍人に思想や言論の自由が許されるわけがない。
    そういう意味でも自衛隊は違憲なはずです。
    陸自幹部の政権批判…「誤解招く」「危機感から」
    読売新聞2010年2月12日
    陸自連隊長は注意処分 日米同盟関係発言問題    朝日新聞2010年2月12日
     

  5. 生活経済研究所〜by 相模太郎

    第10回FPシンポジウムに参加〜「大きな物語」終了後の投資態…

    去る平成22年2月13日(土)、早稲田大学国際会議場にて、第10回FPシンポジウムが行われ、わたしも参加して来た。2年ぶりの参加となった訳だが、会場は何となく寂しい雰囲気だ。一昔前は、協賛企業のブースが設けられて、何かと賑わっていた。今回は、主催者側の……

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