Windows Live Movie Makerの致命的な欠点

Windows Live ムービーメーカーの使い勝手だが、動画の中身によってはそれほど悪くないかもしれない。しかし致命的な欠点がある。
Windowsでハイビジョン動画の編集をタダでやろうと思うと、第一の選択肢は「Windows ムービーメーカーHD」で、Windows Vistaの「Home Premium」か「Home Ultimate」、そして、もちろんそれなりの性能のパソコンが必要になる。
詳細はマイクロソフトのこちらのページを参照してほしい。
ただ、話はややこしくなるが、マイクロソフトが無償で提供している、ハイビジョン動画編集ソフトには2種類ある。上述の「Windows ムービーメーカーHD」と「Windows Live ムービーメーカー」だ。
上述の「Windows ムービーメーカーHD」はWindows Vista Home PremiumとUltimateにタダで付いてくるが、「Windows Live ムービーメーカー」は下記のリンクからダウンロードしてインストールする必要がある。
Windows Live ムービーメーカーのダウンロードページ
名前は「Live」が入っているかどうかだけの違いなのだが、ソフトの機能と使い勝手は、まったく別物である。
「Windows Live ムービーメーカー」の方は、ハイビジョンのヨコ・タテが16対9の動画出力が初期値になっていて、しかもメニューに、マイクロソフト・オフィス2007と同じ「リボン」形式を採用している。
マイクロソフト・オフィス2003から2007に乗り換えた利用者(僕も含めて)に、とても評判の悪いあの「リボン」インターフェースである。
これだけでも「Windows Live ムービーメーカー」を使う気がうせるが、さらに輪をかけて「Windows ムービーメーカー」から、機能の「改悪」がされている。
それは、動画編集が「ストーリーボード」形式でしかできなくなったことだ。
「Windows ムービーメーカー」と「Windows ムービーメーカーHD」は、動画編集に「ストーリーボード」形式の画面と、「タイムライン」形式の画面を切り替えて使うことができた。
「ストーリーボード」形式とは、わかりやすく言えば、紙芝居のように、動画の断片を並べて、間をつないでいく形式だ。
「ストーリーボード」形式の致命的な欠点は、それぞれの動画の長さが、画面に現れないことである。1分の動画も、10分の動画も、1枚の紙芝居の紙として、画面上に表現される。
それに対して「タイムライン」形式とは、時間のものさしの下に、一つひとつの動画の断片が、短い動画は短い帯で、長い動画は長~い帯で表示される。
たとえば「10分の動画を4分と6分の動画にカットする」という編集をやる場合、「ストーリーボード」形式では、動画をあらわす長方形が、1個から2個に増えるので、まるで動画の時間が長くなったかのように見える。
対して「タイムライン」形式では、10分の帯の途中、4分の部分に切れ目が入るだけなので、動画全体の長さが変わっていないことが一目瞭然だ。
映画にたとえると、「ストーリーボード」は絵コンテで、「タイムライン」はフイルムそのものと思えばいい。
アナログ時代の映画は、長~いフイルムを切り刻んだり、順番を入れ替えたりして編集して、一つの作品を作っていた。当然、長いカットは、フイルムの物理的な長さも長くなる。
この映画のフイルム編集的な発想からすると、デジタルで動画編集をするとき(これをノンリニア編集という)も、「タイムライン」形式の方が自然だ。
「タイムライン」方式も、撮影した動画ファイルを「タイムライン」の下にドラッグ&ドロップすると、長い時間撮影した動画は長く、短い時間の動画は短く表示される。
そして、カットしたり、前後の順番を入れ替えたりするときも、その「長さ」の表示は維持されるので、どのカットが短くて、どのカットが長いのか、ぱっと見でわかる。
なので、動画編集の基本は「タイムライン」形式である。
ところが、マイクロソフトの一般消費者向けソフトウェア開発チームは、いったい何を考えたのか、「Windows Live ムービーメーカー」では、この「タイムライン」形式をなくしてしまい、「ストーリーボード」形式だけにしてしまったのだ。
動画編集の専門家に、絵コンテだけでフイルムの編集をしろと言ったら、バカにされるだけだが、マイクロソフトの「Windows Live ムービーメーカー」の企画開発者は、たぶん「バカ」である。
機能を削るなら、「ストーリーボード」形式の方を削るべきであって、動画編集ソフトから「タイムライン」形式を削るなど、完全な「バカ」のやることだ。
ところで、僕はマイクロソフト版ミクシィとでも言える「Windows Live」のアカウントをいちおう持っているが、まったく使わない。
ミクシィや、facebookなど、他のいわゆるソーシャル・ネットワーキング・サービスと比べて、Windows Liveのメニュー構成が、圧倒的に使いづらいからだ。いったいどうすればこれほど使いづらくできるのかというくらい、使いづらい。
要するに、マイクロソフト社の中でWindows Live関連の製品を開発してる技術者たちには、一般人にとって、どういうメニュー構成や画面構成が使いやすいのか、判断するセンスが完全に欠けているのだ。
そのせいで、「Windows Live ムービーメーカー」も、もともとの「Windows ムービーメーカー」から絶対に削ってはいけない「タイムライン」編集機能の方を削ってしまい、「ストーリーボード」編集機能だけを残してしまった。
ただ、冒頭で僕は「Windows Live ムービーメーカー」も、動画の中身によってはそれほど使い勝手が悪くないかもしれない、と書いた。
その意味は、まさに紙芝居のように、一つひとつの動画の断片(カット)の長さを全く気にしなくていいような動画を作る時には、「ストーリーボード」形式で十分なのだ。
そうやって作ってみたのが、下記の動画である。「ビッグエコー」のカラオケの機能を説明する動画だ。
[Moody Penguin] How to Enjoy Japanese Karaoke – Part 1
この動画が、「ストーリーボード」形式で何とか編集できたのは、音楽とシンクロさせる必要がまったくないためである。
僕がいつもYouTubeにアップしている、いわゆる「歌ってみた」系のカバー動画は、当然のことながら、自分が歌った曲と動画をシンクロさせる必要がある。
曲のリズムの切れ目が、ちょうど動画の切れ目になるように、タイミングを合わせる必要がある。
この作業が「ストーリーボード」形式では、完全にできなくなってしまうのだ。
今までの「Windows ムービーメーカー」の「タイムライン」形式の編集では、音楽トラックに表示されている波形を見ながら、音が大きくなる瞬間に、動画が切り替わるように、動画の断片をマウスで左右に微妙にドラッグして、音楽ときっちりタイミングを合わせる作業ができた。
ところが、「Windows Live ムービーメーカー」では、「タイムライン」がまったく見えなくなってしまったので、耳だけを頼りに、一つひとつの動画のカットとトランジション(フェードインやフェードアウトなどの効果)の長さを決める必要がある。
しかも「Windows Live ムービーメーカー」では、トランジションの長さを、秒単位の数字で入力する必要がある。
しかし、いったい誰が、たとえば中島美嘉の「雪の華」の「伸びた影を~舗道にならべ~」の正確な秒数を、耳で聴いて測定できるだろうか?
この記事も、そろそろ長くなりすぎた。
要するに僕が言いたいのは、マイクロソフトの「Windows Live」シリーズ製品の企画・開発担当チームの技術者たちは、絶望的に空気の読めない人たちだ、ということ。
自分たちのやっていることが正しいと、頭から信じ込んでいて、利用者が何を求めているのかを完全に無視している、ということだ。
マイクロソフト製品では、たびたびこういうことが起こる。
マイクロソフト・プロジェクトという製品の、ウェブ画面が、2007へバージョンアップしたときも、同じようなことがあった。
製品の企画・開発担当チームが、いったい何を血迷ったのか、まったく理解できないほど、使い勝手が悪くなったのだ。
マイクロソフト社内には、この手の「狂信者」を客観的にチェックする、組織的なしくみが存在しないに違いない。
...なんだか、社内情報システム部門の一担当者として、普段から、いかにマイクロソフト製品に悩まされているかのグチになってしまった。
まあとにかく、マイクロソフトは一刻も早く「Windows Live ムービーメーカー」に「タイムライン」編集機能を復活させるべきだ。

Windows Live Movie Makerの致命的な欠点」への1件のフィードバック

  1. さこちゃんわぁるど

    Windows7でWindows(Liveじゃない)ムービーメーカーを使う

     今回、ある事情で、動画の編集をすることになった。 Windows7のPCには、

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