鬼束ちひろ『DOROTHY』レビュー(3)クレジットを熟読する

鬼束ちひろのニューアルバム『DOROTHY』(2009/10/28発売)について。

最初に書いておくと、この鬼束ちひろ2年振りのアルバム『DOROTHY』は、クズみたいなJ-POPが氾濫している中で、2009年、正統な意味で聴くに値するアルバムの一つである。
前々回は「鬼束ちひろ『DOROTHY』レビュー(1)その形而上学的構想について」、そして、前回は「鬼束ちひろ『DOROTHY』レビュー(2)アレンジの劇的な変化」と題して、まともにレビューをした。
しかし、今回はレビューではなく、歌詞カードに書いてある各曲のクレジットが、すべてローマ字なので、漢字に書き直し、一体どんなミュージシャンが『DOROTHY』を支えているのかを調査してみる。(以下、敬称略)
1.『WHITE WHALE IN MY QUIET DREAM』
この曲は、細野晴臣氏と親交があるというベテラン浜口茂外也(はまぐち もとや)の演奏する、アイルランドの太鼓ボーラン(bodhran)だけというシンプルな伴奏。
2.『陽炎』
ピアノ:坂本昌之
ベース:ベテランの松原秀樹。氏は現在、パーカッションの斎藤ノブ率いる(?)Vibes(ヴァイブス)というグループでベース担当。
ドラムス:江口信夫。同じく現在はVibesのドラマーとして活躍しておられる。
エレキギター&アコースティックギターベテランの古川望。兄の古川初穂と1982年にプログレ・フュージョンバンド『羅麗若(ラレイニヤ』でデビューしたらしい。
ストリングス:弦一徹ストリングス。弦一徹はバイオリン奏者としての芸名で、本名は落合徹也。坂本昌之氏がプロデュースした平原綾香『Jupiter』にも、弦一徹ストリングスとして参加している。なるほど『Jupiter』つながりね。
バイオリン:弦一徹、金子芳子、梶谷裕子、永田真希
ヴィオラ:森琢也、Chikako Nishimura(この方は調べがつきませんでした)
チェロ:森田香織、唐沢安岐奈(男性で読売日本交響楽団の団員)
3.『X』
ピアノ&プログラミング:坂本昌之
ベースベテランの美久月千晴。2004年、櫻井和寿、小林武史を中心に編成された、Bank Bandに参加しているので、小林武史つながりか?
ドラムス小田原豊。レベッカの3代目ドラマー。ベースの美久月千晴とは「DON’T LOOK BACK」というバンドに1998年~1999年に在籍。ちなみに、柴田淳のアルバム『ゴーストライター』の1曲目『救世主』のドラムも担当している。
エレキギター西川進。椎名林檎のバックバンドもやっていた有名なギタリストらしい。柴田淳のアルバム『ゴーストライター』では『雨』のギターを担当。
ストリングス:弦一徹ストリングス
バイオリン:弦一徹、森琢也、門脇大輔、永田真希
ヴィオラ&バイオリン:金子芳子、梶谷裕子
チェロ:森田香織、謝名元 民(じゃなもと・たみ。沖縄出身、東京交響楽団チェロ奏者)
4.『ストーリーテラー』
Wurlitzer(ウーリッツァー、電気ピアノの一種):坂本昌之
ベース:ベテランの高水健司(1951年神戸生まれ)。1977年ごろから10年間、松任谷由実のレコーディングに参加。
ドラムス、ダラブッカ(中近東の太鼓)、ジャンベ(西アフリカの太鼓)鶴谷智生
エレキギター&アコースティックギター今剛(こん・つよし)。たぶん坂本昌之とは、中島みゆきつながり。
シェケレ(西アフリカの打楽器)、シェイカー、プイリ(フラ打楽器):浜口茂外也。1曲目でボーランを演奏している方。
ブルースハープベテランのブルースハープ奏者、八木のぶお
5.『STEAL THIS HEART』
ピアノ&プログラミング:坂本昌之
ベース:高水健司
ドラムス&タンバリン河村”カースケ”智康。白井貴子のバッグバンド(クレイジーボーイズ)のドラム担当。2007年のap bank fesに参加している。
エレキギター:西川進
6.『I Pass By』
ピアノ&ハモンドオルガン:坂本昌之
ベース:美久月千晴
ドラムス:小田原豊
エレキギター&アコースティックギター:今剛
7.『帰り路をなくして』
ピアノ:坂本昌之
ベース:美久月千晴
ドラムス:鶴谷智生
エレキギター&アコースティックギター:今剛
ストリングス金原千恵子ストリングス。
バイオリン:金原千恵子、大久保祐子、藤家泉子(ふじいえ・もとこ)、佐分利恭子、押鐘貴之(この方は中島美嘉『見えない星』でもバイオリン担当)
ヴィオラ:古河原裕仁、山田雄司
チェロ:堀沢真己、増本麻理
8.『Losing a distance』
ピアノ&ハモンドオルガン:坂本昌之
ベース:松原秀樹
ドラムス:江口信夫
エレキギター&アコースティックギター:古川望
(この曲は『陽炎』と全く同じメンバー)
9.『ラストメロディー』
ピアノ:坂本昌之
ベース:美久月千晴
ドラムス:河村”カースケ”智康
エレキギター&アコースティックギター:西川進
10.『蛍』
ピアノ:坂本昌之
フレットレス・ベース:松原秀樹
ドラムス:江口信夫
ガットギター&ブズーキ:古川望
(ここまで『陽炎』『Losing a distance』と全く同じメンバー)
ストリングス:弦一徹ストリングス
バイオリン:弦一徹、永田真希、森琢也、門脇大輔
ヴィオラ&バイオリン:金子芳子
ヴィオラ:梶谷裕子
チェロ:森田香織、唐沢安岐奈
(ストリングスも『陽炎』とほぼ同じメンバー)
11.『VENUS』
ピアノ:坂本昌之
フレットレス・ベース、マンドリン、ブズーキ渡辺等。(元SHI-SHONENのメンバー!当時の彼女が好きなグループだったので、涙がちょちょ切れる。どうでもいい話で済みません)
ドラムス:河村”カースケ”智康
エレキギター、マンドリン&ブズーキ:西川進
ダフ(インドの打楽器):浜口茂外也
ハープ朝川朋之。ちなみに、柴田淳のアルバム『ゴーストライター』で『Love Letter』のハープも担当。
ストリングス:弦一徹ストリングス
バイオリン:弦一徹、金子芳子、永田真希、門脇大輔
ヴィオラ&バイオリン:森琢也、梶谷裕子
チェロ:森田香織、岩永知樹
渡辺等氏については、GEMMATIKA RECORDS/no choice recordsというクレジットも追記されている。
レコーディングは、新宿のスタジオ サウンド バレイ、渋谷のBunkamuraスタジオ。
おやっ?と思ったのは、英語詞のアドバイザーとして、翻訳家・大島豊という人物の名前がクレジットされていること。ちゃんと英語が正しいかどうかを、チェックしてもらっているわけだ。(今までは?)
歌詞カードブックレットの最後のページには、有名な話だが、エグゼクティヴ・プロデューサとして、ナポレオン・レコーズの「鬼束孝一郎」なる人物が登場する。
ユニバーサルに移籍してから、鬼束ちひろは自分の楽曲の版権を、自分で設立したナポレオン・レコーズで保有しているらしく、2007年のアルバム『LAS VEGAS』から登場するこの「鬼束孝一郎」という人物は、ちーちゃんのお父さんだといううわさ。(鬼束家で男性は、父親と弟の2人だけなので)
以上、『DOROTHY』のクレジットをじっくり眺めてみた。柴田淳の『ゴーストライター』と意外にかぶっているのが面白い。
(つづく)
※この鬼束ちひろのアルバム『DOROTHY』のレビューは、以下のように全6回の連載になっています。ぜひ通してお読みください。
「鬼束ちひろ『DOROTHY』レビュー(1)その形而上学的構想について」
「鬼束ちひろ『DOROTHY』レビュー(2)アレンジの劇的な変化」
「鬼束ちひろ『DOROTHY』レビュー(3)クレジットを熟読する」
「鬼束ちひろ『DOROTHY』レビュー(4)物語分析・前半」
「鬼束ちひろ『DOROTHY』レビュー(5)物語分析・後半」
「鬼束ちひろ『DOROTHY』レビュー(6)全体構成のまとめ」
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