林信行のKYな反論:米WIRED記事『なぜ日本人はiPhoneが嫌いか』

林信行という自称「ITジャーナリスト」が、日経ITProというサイトで、『iPhoneの衝撃』『iPhoneショック2』という、いわゆる「黒船襲来」系のトンデモ記事を書いていることを取り上げ、先日、ここで反論を書いた。
要は、林信行氏の思いこみに反して、iPhoneは絶対日本で売れないという反論だ。
ところが、すでに米国のWIRED.comに、米国人による「なぜ日本人はiPhoneがキラいなのか」という記事があることを知った。
日本語による解説記事はこちらをクリック。
そして原文の英語の記事はこちらをクリック。
で、やはり林信行氏はこの記事で自分の意見が正確に引用されてないことにカチンと来たらしく、英語で反論の記事を書いていたらしい。
『My view of how iPhone is doing in Japan by Nobi(日本でiPhoneがどうなっているかについての私見)』
ただ、以前も書いたように、林信行氏のいかなるiPhone擁護論に対しても、反論するのは不毛である。(僕はそういう不毛なことをして時間をムダにするのが大好きなのだが)
彼は日本のごくフツーの携帯電話ユーザーとは全く異なる世界の住人だからだ。
日本のごくフツーの携帯電話のユーザーとは、通勤・通学電車で親指で絵文字入りのメールを頻繁にやりとりしたり、自宅でモバゲーなどのSNSサイトを純粋なヒマつぶしに閲覧したり、ごてごてストラップをぶら下げたり、端末のデコレーションにいそしんでいるような、そういう人たちのことだ。
英語が堪能で、凡庸な学生でもなく、凡庸な会社員でもない。そんな林信行氏に、そもそも日本の携帯電話にiPhoneが勝つか負けるかなどという話題を論じる資格はない。
林信行氏は、いわるゆ「上の人」、ITリテラシーの高いエリートであって、携帯電話をジャラジャラとデコレーションしている日本のユーザーにまでiPhoneが普及するかを論じる立場にない。
まして、林信行氏のiPhoneに関する議論は、分裂している。
林信行氏は、上記の自身のブログに引用した、WIRED.comのChen Brian氏あてのメールでは、日本におけるiPhoneの状況について、冷静かつ中立的に論じている。
にも拘わらず、その同じ林信行氏が、日経ITProに連載している『iPhoneの衝撃』『iPhoneショック2』の内容の偏り具合は、一体何なのだろうか?
日経ITPro 連載『iPhoneの衝撃』
日経ITPro 連載『iPhoneショック2』
これらの連載は、個人的な思い込みによるiPhone礼賛記事と取られても仕方ないほど、無根拠な希望的観測にあふれている。まさに梅田望夫の『ウェブ進化論』的なセンセーショナリズムやプロパガンダに満ち満ちている。
林信行氏は、日本のジャーナリズムの文脈の中では、日経ITProの連載記事が、自分のITジャーナリストとしての信頼性を台無しにする、ということに気づいていない。
梅田望夫氏が、いまや「とんでもエッセイスト」の殿堂入りをしているのと同様、林信行氏も、遅かれ早かれ「とんでもITジャーナリスト」の殿堂入りをするに違いない。
林信行氏がどれだけiPhoneを礼賛しようと、iPhoneが日本の携帯電話文化に「衝撃」というほどの「衝撃」を与えることはない。
林信行氏のように、特定の機種について熱く語るタイプの人間は、日本の携帯電話ユーザーの中では、ウザがられるだけである。
なぜなら、日本の携帯電話ユーザーの機種選択は、合理的判断によって行われているわけではないからだ。
携帯電話の機種を選ぶとき、機能や使いやすさ、料金などを総合的に比較するユーザーは、日本では少数派である。
日本のほとんどの携帯電話ユーザーは、単なるキャリアやブランドの好き嫌い、友達がドコモだから、auだから、ソフトバンクだから、などといった、きわめていい加減で、非合理的な理由にもとづいて機種を選択する。
それを合理的に分析しようとしたり、iPhoneの優位性を合理的に説明しようとすること自体、林信行氏が、いかに日本の携帯電話文化を理解していないかの証拠である。
WIREDの記事も、日本人がなぜiPhoneを嫌うのかを、合理的に説明しようとしている点で、同じように、日本の携帯電話文化をまったく理解していない。
その他、日本でなぜiPhoneがメジャーになれないのかを、機能面、通信費用などで合理的に説明しようとしている人々は、すべて、日本の携帯電話文化を誤解している。
日本人にとって携帯電話とは、もはや携帯電話自体の機能や料金体系について語るべきものではなく、コミュニケーションの道具として、もっと感情的側面の大きなものになっている。
そんな空気の中で、iPhoneは日本の携帯業界に衝撃を与えるなどと、大真面目に、かつ、理論的に語る林信行氏のような人物は、完全にKYである。