iPhoneは決してケータイを変えない

iPhoneが最近やたらと騒がれているが、決して日本のケータイ市場を変えることはない。
社団法人・電子情報技術産業協会によれば、この記事を書いている時点で、最新の2009年8月の統計で、1か月の携帯電話出荷台数は約187万台で、14か月連続マイナスとなっているらしい。
うち、ソフトバンクのシェアは、総務省によると、ざっくり20%と言われているので、2009年8月の1か月で約37万台。
ところで、アップル社発表による、2009年4~6月期の、「全世界」でのiPhoneの販売台数は約521万台だ。これを1カ月平均にすると、174万台。
仮に、ソフトバンク加入者の半分がiPhoneを購入するという、非現実的な想定をしても約18万台で、iPhoneの2009年8月単月の国内シェアはたった10%。
実際にはiPhoneの累計販売台数は100万台に届くか届かないか、程度の台数だと言われている。
総務省の「平成19年通信利用動向調査報告書(世帯編)」(2008年6月)によれば、国内の携帯電話機・PHSの世帯普及率は2007年末で95.0%とのこと。
2005年の日本の世帯数が約4,900万なので、2007年の世帯数が少し減っているとして、iPhoneがすでに累計100万台売れていたとしても、シェアはたった2%。
要するにiPhoneは、日本国内では極めてマイナーな機種なのだ。
ところが国内のIT系メディアは、iPhoneに関して「バカ騒ぎ」状態。特に日経ITProなどは、iPhone専用のコーナーまで設ける始末。
そのコーナーに「ケータイを変えたiPhone」などという、勘違いもはなはだしいタイトルを付けている。
しかも「ケータイを変えた」と過去形。一体いつ日本のケータイ文化がiPhoneによって変えられてしまったのだろうか。
日経ITProのこのコーナーは「とんでも記事」のオンパレードで、ここまで来ると「お笑い」だ。
梅田望夫の『ウェブ進化論』に始まる「グーグル狂想曲」以来、IT系メディアのこの種の「根も葉もない流言飛語」には、目に余るものがある。
たった数%の機種が、いつ、どうやって、相変わらず親指でメールを打ちまくり、モバゲーでヒマをつぶしている、大多数の日本の携帯利用者の文化を変えたというのか?
いったいiPhoneが日本の携帯電話業界に、どんな顕著な「功績」をもたらしたというのか?
iPhoneのテレビCMのセンスが良くて、「さすがアメリカ」などと、いまさら、米国かぶれの頭がからっぽのフリーライターが、iPhoneが日本のケータイ業界に革命を起こすと、完全に誤った妄想を抱く様子は、某新興宗教がハルマゲドンを本気で信じていたのと大差ない。
こんな特集コーナーを組む日経ITProの編集部は、妄想にもとづいて特定商品の宣伝記事を書く自らの編集姿勢を恥じ、謙虚に現実を伝える方向に正すべきだ。
というか、日経の記者って、もう三流スポーツ新聞と同じレベルになってしまっているのかもしれない。
以前ここで批判したAsteriskの連載にしてもそうだが、日経ITProの特集記事は、いわゆる「都市伝説」が書いてあるんだ、くらいの気持ちで、8割引くらいで読むべきだろう。