キンドルは日本で絶対売れないが、iPodは売れた理由

キンドルのような電子書籍端末が、日本では絶対に売れない理由を、前回はぐだぐだと書き連ねた。
今回は、キンドルが絶対に売れない日本で、なぜiPodのような携帯音楽プレーヤーが売れたのか、その理由を考えてみる。
まずは、下らない理由から。昔のLP盤がCDの大きさになることで、すでにレコードの「モノ」としての価値が小さくなっていたこと。
「音さえ聞ければいい」というニーズが、すでに十分に大きくなっていたことだ。
そして、より重要な理由は、音楽配信で実質的な値下げになっていることがある。
CDはシングルでも普通1,000円するが、音楽配信で1曲単位で購入すれば200円ほどで済む。アルバムも、音楽配信で購入すれば、CDを買うよりも約3割は安くあがる。
「キンドル」のような電子書籍端末をヒットさせるポイントがあるとすれば、この点だけだ。
たとえば電子書籍が、紙の書籍の半額になったら、新書・文庫を「キンドル」のような機器で読もうという消費者が出てくるかもしれない。
ただ、それでも機器の物理的な大きさで、ケータイとの競争に敗れるだろう。
書籍を読むには、どうしても一定の大きさの画面が必要だが、音楽を聴くにはケータイより小さい画面で十分だ。
じっさい、携帯音楽プレーヤーは、フルカラー液晶をもつ機種もあるが、動画配信端末としては失敗している。曲名などを表示する、最小限の画面があれば十分。
なので、ケータイに加えて携帯音楽プレーヤーを持ち歩くことを、面倒がる人はほとんどいない。
じゃあ、ケータイ自体を音楽配信端末として使えばいいのに、なぜケータイの音楽配信サービスは、「着うたフル」どまりで中途半端なのか?
音楽配信で、ケータイが圧倒的に不利な理由は、大量の音楽ファイルの管理に不向きだからだ。
1年で100冊の本を読む人は少ないが、1年で100曲の音楽を聴く人は普通にいる。
音楽ファイルは、1アルバム1ファイルではなく、1曲1ファイルなので、どうしてもファイル数が膨大になる。
すると、大量の音楽ファイルを整理する道具が必要になり、iTunesのようなパソコンで動くソフトウェアと、携帯音楽プレーヤーを組み合わせて使うことになる。
そして、iPodなどの携帯音楽プレーヤーは、パソコンが誰でも使えるふつうの機械になってから登場したので、成功した。
パソコンを買うお金のない消費者層は、ケータイの着うたフルや、CDレンタルで音楽を聴き、経済力がつけば、自然と携帯プレーヤーとパソコンの組合せへ移行していく。
また、書籍は書籍そのものが売れなくなっているが、音楽はそうではないという根本的な市場規模の違いもある。
当り前のことを書き連ねてきたが、要するに「キンドル」のような電子書籍端末は、日本でマーケティングするだけ販促費のムダなので、やめた方がいいということだ。
米アマゾンの米国人社員は、日本のケータイがいかに若年層の生活に浸透しているか、また、社会人がいかに単行本を読まないか(漫画ばっかり読んでいるか)といった、文化的背景の違いを軽視し過ぎているに違いない。
日本では「キンドル」なんて、絶対に売れません。