鬼束ちひろは「取材者泣かせ」の歌手か?

何だか最近、この「愛と苦悩の日記」は闘病記みたいになっているらしい。でも当然、そればかりで毎日が過ぎているわけでもない。
鬼束ちひろのニューアルバム『DOROTHY』から「STEAL THIS HEART」のビデオクリップが、音楽専門チャンネル「MUSIC ON! TV」で、2009/10/16、2009/10/17の2日間だけ放送されていたようだ。
鬼束ちひろの公式サイトには、何も書いてなかったぞ。
で、早速それをハイビジョン録画してYouTubeにアップしている人がいた。
http://www.youtube.com/watch?v=1ZMkkOD1vhE
Sony Musicが中島美嘉のPVを片っ端から削除しているのと違って、ユニバーサルとナポレオン・レコード(=鬼束ちひろ個人)はPVのアップについて寛容なようだ。
※2009/10/26この部分は訂正。上記のハイビジョンPVをアップしたYouTubeのユーザーアカウントは、見事に削除されていた。そして2009/10/26にユニバーサルが正式にYouTubeに「STEAL THIS HEART」のPVをアップした。そちらのリンクは下記のとおり。
鬼束ちひろ STEAL THIS HEART
東芝EMI時代も含め、YouTubeには鬼束ちひろのPVがたくさんアップされたままになっている。
※2009/10/26 この部分も訂正。東芝EMI時代のPV「だけが」たくさんアップされたままになっている。 
世間的に、ちーちゃん(=鬼束ちひろ)は「一発屋」あつかいで、すっかりマイナーな存在。僕もつい最近まで、彼女がアルバムを出し続けていたことを知らなかったのだから。
なので、YouTubeが、「宣伝媒体としての効果>著作権侵害の損害」となる歌手にとっては、PVをアップしっぱなしにしておく効果は大きい。
現に、もし柴田淳や鬼束ちひろのPVがYouTubeにアップされていなかったら、僕は彼女らのアルバムを買いたいという気にさせられなかっただろう。
柴田淳のファンクラブに入ろうとも思わなかっただろう。柴田淳のコンサートチケットの先行予約をしようとも思わなかっただろう。(中島美嘉とちーちゃんのツアーを観るまでは死ねないかも)
なぜ島宇宙化した音楽業界で、必要とする人(例えば僕)に、必要とする音楽(例えば鬼束ちひろ)さえ、届かなくなったのか。
その理由は、両者をつなぐメディアにあるようだ。
2009/08の『サイゾー』の記事で、取材者泣かせの歌手として、鬼束ちひろとジェロがあげられていたらしい。
『「よく分かりません」を連発……取材者泣かせの”寡黙すぎる女性歌手”とは?』
こういう風に鬼束ちひろを取り上げる『サイゾー』は、さすがだと感心させられる。
同時期にアルバムを出す柴田淳と比べても、鬼束ちひろの音楽誌への露出がほぼ皆無なのは、「干されている」からなのかもしれない。
(『ROCKIN’ON JAPAN』の最後の方に、ちらっと『陽炎』のリリースのことが書いてあったけど)
鬼束ちひろやジェロのような、優れた才能を持つ特別な人たちにとって、歌手になることは、学校や日本人社会の同調圧力(=みんな同じでないと許さない空気)から逃れる手段でもあったに違いない。
それが、いざ業界に入ってみると、同調圧力たっぷりの会社組織に属する凡庸な記者が、どれも同じような下らない質問をしてくる。中島美嘉が「I Don’t Know」で皮肉っているように。
その失望感たるや、想像するにあまりある。
もし、いまだに記者が「なぜ裸足で歌うんですか」とか、ちーちゃんに質問していたとしたら、そりゃ僕だって「よく分かりません」を連発するさ。
そう言えば、中島美嘉は去年だったかの『王様のブランチ』で「なぜ裸足で歌うんですか」と、おそらく38万回は聞かれたであろう質問に、笑いながら答えてた。
「あたし、ステージで歌ってるとき、80パーは目をつぶってるんで」って。強いですねぇ。
鬼束ちひろにインタビューしたライターのブログ記事を見つけた。
『「怒るくらいなら泣いてやる」音楽ライター・内本順一のブログです。』より、2007/09/22「鬼束ちひろのこと」。
ところで「STEAL THIS HEART」のPVをご覧になると、ちーちゃんのエレキギターにカポが付いているのがわかる。
いくらコードを弾くだけだからって、普通エレキギターにカポなんて、絶対つけない。
それに、ギターの位置が高い。コードストロークに手首をほとんど使っていない。モロに初心者の弾き方だ。
これらはおそらく、ちーちゃんが本当にギターを練習している証拠だと思う。
(ちーちゃんは子供のころエレクトーンを習っていたので、キーボードは弾ける。17歳から自宅で作曲に使っていた安物のキーボードはぼろぼろで、田舎の漁村の漁師の家なので、ピアノを買うお金なんてなかったんだろうな。東芝EMI時代のプロデューサーから新品のキーボードをプレゼントされて喜ぶシーンが、NHKのドキュメンタリー『神が舞い降りる瞬間~鬼束ちひろ・22歳の素顔~』の中に、たしかあった)
ノラ・ジョーンズは、ずっとピアノで作曲していたが、途中からギターでも作曲するようになって、ギターで作る曲のシンプルさに肯定的なコメントをしていた。
結論は何もないが、いつかまた、地上波のメジャーな歌番組で、鬼束ちひろが見られる日を、日を、日を、日を、日を、願っている。(『シャイン』の歌詞を参照のこと)