見当違いの新型インフルエンザ対策

ついに僕の会社でも新型インフルエンザの患者が出た。
その後の感染拡大を予防する最優先対策として、全員にマスクをさせるというのは、どうなのだろうか?
その感染者をAさんとすると、Aさんは新型インフルエンザの潜伏期間中、マスクをせずに、ふつうに同僚と仕事をしていたわけだ。Aさんの周囲には、濃厚接触者がたくさんいることになる。
で、Aさんの感染がわかったのは、Aさんに発熱やせきなどの症状が出たからだ。
当然、Aさんの潜伏期間中、Aさんと濃厚接触した人の中には、すでに感染していて、潜伏期間に入っている人がいる。
潜伏期間は、せきの症状がないので、当然、飛沫感染よりも、接触感染を予防することの方が重要だ。
つまり、同じオフィスの中で、初めて感染者が出た場合は、その周囲に、すでに潜伏期間の感染者がいると仮定すべきである。
しかし、潜伏期間なので、外見上、誰が感染しているかわからない。
本当は、濃厚接触者に新型インフルエンザ検査を会社の費用で受けさせ、結果が出るまで自宅待機させるのがベストだが、業務がストップしてしまうので、そうも言ってられない。
誰が感染しているかわからない状態では、飛沫感染より、接触感染による感染を、まず防がなければいけない。
だとすれば、全員にマスクさせるよりも先に、オフィス・会議室の出入口やトイレへのアルコール消毒液の設置、オフィスや会議室などのドアノブの定期的な消毒など、接触感染の対策をやるべきだろう。
日本人のマスク好きは有名な話だが、これって結局、みんながマスクをしていれば、いかにも予防対策をしているように見えるという、アリバイ作りにしかならない。
同じオフィスの中で、全員がマスクをすることに意味があるのは、すでにせきを発症している感染者が、会社に黙って無理をして出社している場合、その感染者が出す飛沫を防ぐ場合だけだ。
でも、すでに発症している感染者が、会社に黙って無理して出社している時点で、接触感染のリスクが十分すぎるほど高まるので、全員がマスクをすることに感染拡大の予防効果はないと思うのだが。
こういう風に、論理的に考えれば簡単に正しい答えが出るようなことであっても、見当違いな方向へ行ってしまうのが、同調圧力が強く、「空気」が支配している日本の組織の特徴である。
今年(2009年)の春、一生懸命、空港での無意味な水際対策を指示していた厚労省も厚労省だが、接触感染のことを忘れて、みんなでマスクをして予防した「つもり」になっている民間企業も民間企業だという気がする。
もちろん、こんなことを会社の中で発言すると、不興を買うことが分かっている、賢明なサラリーマンである僕は、会社の指示どおりにマスクをしつつ、こまめに手洗いをしたり、できるだけドアノブに手を触れないようにしたり、接触感染の予防に秘かに取り組んでいる。
だって、インフルエンザにかかったら、のどがやられて、2か月はまともに歌を歌えなくなるんだもん。