第一興商「全日本カラオケグランプリ」傾向と対策(1)隠れた「応募資格」

来年(2010年)以降、ビッグエコーの第一興商主催「全日本カラオケグランプリ」に出場したいという方のために、その「傾向と対策」を何回かに分けて書いてみたい。
■応募資格がない、というのはウソ
まず応募資格について。
もちろん主催者の第一興商は、「応募資格なんてありません。誰でもどんどん応募して下さい!」とおっしゃる。
でも、1曲エントリーするのに1,000円かかるので、応募する前によく考えた方がいい。
今回、僕が関西大会に出場した経験からして、この大会は皆さんの想像以上にレベルが高い。NHKの「のど自慢」などとは比べものにならない。
よくテレビで、お笑い芸人が本気で歌のうまさを競い合う娯楽番組があるが、あんなものとは比較にならない。
歌はうまくて当たり前なのだ。
■足切りラインその1:音程とリズムの正確さ
もう少し具体的に説明すると、まず、音をはずさない、リズムをはずさないこと。
楽器演奏の経験がなく、客観的に音程やリズムの正確さが判断できない人は、カラオケの採点機能を使うとよい。得意な歌で、安定して90点以上出せない人は、応募するのはあきらめた方がいい。
ただ、オリジナルの譜割りを、忠実に再現する必要はまったくない。
たとえば「愛している」という歌詞があって、オリジナルの歌手が歌っているCDでは、「て」が付点四分音符で「る」が8分音符なのに、どちらも4分音符で歌ったとしても、まったく問題ない。
ただし、「て」と「る」の頭が、8分音符の正確なタイミングからズレるのは、意図的な「ため」でない限り、ダメなのだ。
まずこれが第一の「足切りライン」。
■足切りラインその2:腹式呼吸
第二の「足切りライン」は、腹式呼吸の発声ができるか。
腹式呼吸の発声ができているかどうか分からない人は、中学・高校生なら、音楽の先生か、舞台演劇の指導ができる先生に教えてもらおう。
社会人で、身近にそういう先生がいなければ、ボーカル教室の体験入学でもしてみるといい。
カラオケが好きの人たちは、女性の場合、腹式呼吸ができず、蚊の鳴くようなウラ声でしか歌えない人や、口先だけの発声で、歌手の「ものまね」風にしか歌えない人が多い。
男性の場合、大声で叫ぶようにしか歌えない人や、ビジュアル系バンドのボーカルのまねをして、口先でしゃくり上げるようにしか歌えない人が多い。
こういう人たちは腹式呼吸ができていない。
腹式呼吸の発声ができているかどうか、一つの目安は、10人くらいが入れる普通のカラオケボックスで、伴奏も普通の音量にして、マイクを使わずに、そして肩に力を入れずに、叫ばずに、ボックス全体に声を響かせることができるかどうかだ。
■足切りラインその3:ビブラートのコントロール
そして、第三の「足切りライン」は、ビブラートをある程度コントロールできるか。
まず、長く音を伸ばすところで、ビブラートを効かせられないのは問題外。
ビブラートなしのロングトーンと、ビブラート付きのロングトーンを、自由に歌い分けられる必要がある。
また、同じビブラートでも、大きなビブラートから細かいビブラートまで、音を震わせるピッチも、ある程度、コントロールできる必要がある。
演歌・歌謡曲部門でエントリーしている出場者の方々は、このビブラートのコントロールがちゃんとできている人ばかりだ。
POPS部門では、すくなくともビブラートのオン/オフを自由に切換えられなければならない。
さらに言えば、一つのロングトーンの中で、ビブラートなし⇒大きなビブラート⇒細かいビブラートへと、なめらかにビブラートのピッチを変えることができれば、入賞も夢じゃない。
■足切りラインその4:なめらかなウラ声への移行(女性のみ)
次に、第4の「足切りライン」は、女性にだけ関係する。オモテ声からウラ声へのなめらかな切換えができることだ。
プロの女性歌手のCDを聞いていると、オモテ声からウラ声へ切り替わる点がほとんど分からないほどなめらかだ。(中島美嘉は結構わかりやすいけど)
というか、まず、オモテ声とウラ声を聞き分けられない女性は、当然、自分でオモテ声とウラ声を意識的に使い分けることもできないので、まず、聞き分ける訓練から始める必要がある。
年配の女性の中には、意外に、自分がウラ声でしか歌えないことを自覚していない人が多かったりする。
逆に、若い女性の中には、基本、オモテ声でしか歌えず、高音部分で勝手にウラ声に切り替わった瞬間、音程がめちゃくちゃになる人が多い。
オモテ声からウラ声へのなめらかな切換えができるということは、ウラ声でも正確な音程で歌えることを含んでいる。
もちろん、ウラ声の状態でビブラートをコントロールできる必要もある。
男性の場合は、幸いなことに、ほとんどオモテ声だけで勝負できる。
ただ、森山直太郎など、選曲次第では、当然、女性と同レベルのオモテ声/ウラ声の使い分けを要求される。
■足切りラインその5:「こぶし」「しゃくり」「フェイク」
第5の「足切りライン」は、選曲によるが、「こぶし」や「しゃくり」、「フェイク」ができることだ。
演歌・歌謡曲部門では「こぶし」を回せるのは必須。というか、「こぶし」がなきゃ演歌にならない。
そしてPOPS部門では、J-POPのR&B系のメロディーの曲、実際にはほとんどのJ-POPの曲に「しゃくり」がある。音程をわざと、瞬間的に上下にゆらす技術だ。
さらに、間奏に「フェイク」が入るPOPS曲は、原曲のフェイクを忠実にまねるか、ブルーススケールという特殊な音階で、アドリブが歌える必要がある。
POPSの「しゃくり」や「フェイク」は、非常に難しいので、選曲の段階で、これらが入っていない曲、少ない曲を選ぶことをお勧めする。
アメリカの黒人女性歌手のように歌う自信がない限り、もろにR&B系の選曲をするのはやめた方がいい。ドリカムや宇多田ヒカルのほぼ全曲、絢香の最近の曲などは、ブルーススケールでアドリブが歌えないと、まず入選しないだろう。
以上、だいたい5つくらいの「足切りライン」をクリアしていない人は、応募するだけお金のムダである。
飲み会の二次会か何かで、お酒を飲みながら、ストレス発散のためにカラオケを楽しむぐらいにとどめておいた方がいい。
第一興商主催の「全日本カラオケグランプリ」という大会は、それくらい真剣で、レベルが高いのだ。
では、次回は、以上の「足切りライン」をすべてクリアしている人が、いざ応募しようというときに、ベストな方法について、「傾向と対策」を書いてみたい。
具体的には、曲の選び方と、応募方法についてだ。
>>「第一興商「全日本カラオケグランプリ」傾向と対策(2)選曲と応募方法」