村上春樹『1Q84』のベストセラーは「キセキ」でも何でもない

村上春樹の『1Q84』が200万部越えのベストセラーになっているらしい。もちろんこの日記も、それに便乗してアクセス数を稼ごうという魂胆だ。
ベストセラーになった理由について、識者がいろいろもっともらしいことを言うが、真相は単純で、みんな『1Q84』をネタにしたいだけのこと。まさに、この日記のように。
村上春樹の『1Q84』は、久しぶりの村上春樹の長編新作ということで、一部のテレビ番組が取り上げる。
すると、もともとの村上春樹ファンが買う。村上春樹のファン層は文芸書ではかなり多いので、それだけで「中ヒット」になる。
すると、先日の芥川賞の受賞者が、イラン人美女のシリン・ネザマフィさんではなく、地味な商社マンになってしまったこともあり、テレビは文芸ネタとして、さらに『1Q84』を取り上げるようになる。
すると、村上春樹の名前ぐらいは知っている人が、とりあえず書店で『1Q84』の上巻ぐらいは買ってみようということになる。
すると、書店が『1Q84』を入口のいちばん目立つ場所に平積みするようになる。
すると当然、さらに発行部数が伸び、テレビがますますネタにするようになり、NHKはヤナーチェクの『シンフォニエッタ』をBGMに、栗山千明に『1Q84』の冒頭を朗読させたりする。(なぜ栗山千明なんだ?)
あとはこの循環で、マスコミのネタとして鮮度が落ちるまで『1Q84』は売れ続ける。
人々の趣味嗜好が個別化すればするほど、こういう、日本人共通のネタになるものが、突出して売れる。
それだけのことだ。
『1Q84』という作品そのものの評価に関わらず、『1Q84』は運よく売れるスパイラルに入ってしまったというだけのことだ。
それに対して、あとづけで、村上春樹のエルサレム賞でのスピーチの影響だとか、地下鉄サリン事件以降、社会派色の強まった村上春樹作品がより多くの読者層を獲得したとか、もっともらしい解説がつく。
でも、実体は、ドラマ『ルーキーズ』の主題歌が、ギネスブックに掲載申請されるほど、携帯電話でダウンロード数を稼いだのと、大して変りない。
もちろん「キセキ」をダウンロードした人たちと、『1Q84』の購入層はまったく違うだろうけれど。