中川淳一郎著『ウェブはバカと暇人のもの』を読んだ


中川淳一郎著『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)を読んだ。
もっとも説得力のある梅田望夫批判で、本書に付け足すべきものは何もない。
この「愛と苦悩の日記」では以前、梅田望夫氏の『ウェブ進化論』を徹底的に批判した。
しかし、ニュースサイトの現場で、僕のような「バカと暇人」ばかりを相手にしている中川淳一郎氏の批判は、具体的で説得力がある。
あえて留保をつけるとすれば、少なくとも日本ではウェブは「バカと暇人」のものだが、他の国では分からない、ということだ。
ただ、ネットの受容に文化的差異があるであろうことが、梅田望夫氏の、まるでウェブがすべての国に均等に「革命」をもたらすかのような考え方が完全に間違っていることの何よりの証拠だろう。
2000年ごろまではウェブの世界にも一種の先行者利益があったかもしれない。
何しろ僕のように、今ではYouTubeに「中島美嘉シングル全曲カバー」「柴田淳シングル全曲カバー」といった「ゴミ」コンテンツを発信しているような「暇人」が運営していた、「think or die」というサイトが、@niftyの取材を受けたくらいだからだ。
Movable Typeが登場する前、HTMLが書けて、それなりの内容のある文章をネットで発信することが先行者利益だった。というより、単なる先行者利益でしかなかった。
そしてまさに梅田望夫氏のいう「ウェブ2.0」という「革命」が起こったがゆえに、少なくとも日本ではウェブは「バカと暇人」のものになってしまった。
梅田望夫氏は「ウェブ2.0」のおかげで、ネット世界がより理想的なものになるという、完全に間違った幻想を抱いてしまったが、日本で実際に起こったことは、ネットの世界が極めて凡庸で、当り前で、単なる日常になってしまった、ということだった。
何という皮肉。
そして梅田望夫氏は、その皮肉な結果をいまだに自覚せず、日本のネットの現実から目をそむけ、ネットが世の中に変革をもたらし続けると信じているようだ。
そんな梅田望夫氏の「イタさ」に気づかない人が、いまだに梅田望夫氏の理想論を持ち上げている。
ただ、中川淳一郎氏のような本が出てきたということは、日本人がインターネットの世界に対して、冷静に対処できるようになってきた証拠で、良い兆候だと、僕は考える。ネット上の「バカと暇人」の一人として。

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  1. itchy1976の日記

    中川淳一郎『ウェブはバカと暇人のもの 』

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  2. フォトリーディング@Luckyになる読書道

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