本当に正しい「企業のためのパンデミック対策」

いろいろ考えていたのだが、事業継続のためのパンデミック対策について、適切な答えを出せたような気がする。
「在宅勤務」と「縮退業務」は間違いで、ただひとこと、「資金繰り」だ。
これまでこの「愛と苦悩の日記」では、某コンサルタントのパンデミック対策の事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)を批判的に検討してきた。
事業継続のためのパンデミック対策」のナンセンスさ(1)
事業継続のためのパンデミック対策」のナンセンスさ(2)
事業継続のためのパンデミック対策」のナンセンスさ(3)
佐柳恭威氏のパンデミックについての「机上の空論」は続く...
国内で強毒性の新型インフルエンザのパンデミックが起こった場合、本当に佐柳氏の言うように「縮退業務」と「在宅勤務」が事業継続計画の要になるのか?という疑問だ。
僕が考えたのは、次のような答えである。
国内で強毒性インフルエンザのパンデミックが起こった場合、厚労省の言うライフラインに関わる企業を除く全ての一般企業は、従業員の生命の保護を最優先するため、原則として全業務を停止し、倒産を避けうる最低限の資金繰り業務だけに集中すべきである。
そして政府は、特に中小企業の資金繰り対策のために、今から緊急融資制度を準備しておくべきである。
以上が僕の答えだ。少し補足する。
連鎖倒産と従業員の生命保護を防ぐための、非常時の資金繰りなので、全ての企業は従業員の給与の支払いを優先し、大企業・中堅企業は、社会的責任を果たすために、債権回収よりも取引先への支払いを優先する。
そして、この資金繰り業務に必要な、情報システムの稼働などの付帯業務を除いては、原則として企業はすべての業務を停止し、従業員は自宅待機する。
もちろん、電気・ガス・水道などのユーティリティー、公共交通機関、食料品・医薬品の流通に関わる企業は、ライフラインに関わる企業なので、「縮退業務」が必要になる。
しかし、それ以外の、たとえば鉱業、建設、衣類・住宅に関わる製造業、素材メーカ、機械・電器メーカ、開発系の情報・通信業、不動産業、ライフラインに無関係なサービス業は、すべて従業員の生命保護を最優先に、上述のような資金繰り業務だけを残して、全業務を停止すべきだ。
僕が最も恐れるのは、いま日経新聞社を中心に、佐柳氏のようなコンサルタントがキャンペーンを張っているような、「縮退業務」と「在宅勤務」を中心とする事業継続計画を、「全ての」企業がとった場合、パンデミック初期の罹患者や死亡者の増加ペースが、僕の考えた対策をとった場合と比べて、比較にならないほど速くなるのではないか、ということだ。
個々の企業にとっては「縮退業務」であっても、全ての企業が日経新聞社のキャンペーンにのっかって「縮退業務」を実施すれば、合成の誤謬で、パンデミックによる被害者を必要以上に増やす結果になることは間違いない。
誰か、僕より社会的発言力のある人が、佐柳氏のような間違ったパンデミック対策の事業継続計画キャンペーンを、阻止してくれないものだろうか。
このままじゃ、本当に悲惨な結果になると思うのだが。
※『日経ビジネスオンライン』の佐柳恭威氏の記事はこちら。
「強毒性インフル対策、時間に猶予なし」
「災害対策の経験だけでは不十分」
「新型インフル、フェーズ6に。究極の対策は「日常化」」