香山リカ著『雅子さまと「新型うつ」』を読んだ

香山リカ著『雅子さまと「新型うつ」』(朝日新書)を読んだ。香山リカの他の一般向け書物同様、精神医学の現場の実態を反映させながらも、とても読みやすい本になっている。

雅子さまに対する「適応障害」という診断や治療経過について、香山リカはいくつか重要な指摘をしている。
たとえば、宮内庁の対外的なコミュニケーションの問題。宮内庁は雅子さまの病状や治療経過について、ことあるごとに皇室という特殊な環境の重圧によるストレスに言及している。
このことがいくつか深刻な誤解を生んでいると、香山リカは指摘する。
一つは、「同じような環境で、秋篠宮紀子さまは病気にならないんだから、やっぱり雅子さまの忍耐が足りないんじゃないの」という、心無い誤解。
一つは、皇室の生活は重圧に満ちた息苦しい環境であるというネガティブな印象を、宮内庁自ら国民に喧伝しているようなものだ、という点。
そしてもう一つ、最も重要なのが、本書のタイトルにある「新型うつ」とも関係する誤解。
僕も含めて、この本を読むまで、多くの人は「雅子さまは皇族としての公務の重圧によるストレスで病気になった」と考えているが、香山リカは「新型うつ」を一つの例として、まったく逆ではないかと推測している。
ここから先はネタバレになるので、本書をじっさいに読んでいただきたい。
香山リカの言っていることが正しいとすると(おそらく正しいと思う)、彼女の書いている通り、「静養」「安静」を中心とする治療方針は、完全に間違っており、かえって病気を長引かせることになる。
雅子さまの回復を願う国民の一人として、この香山リカの指摘は非常に重要であり、宮内庁が真摯に受け止めるべき意見の一つだと考える。
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