ビデオニュース・ドットコムで裁判員制度賛成派が反論

先々週、ビデオニュースドットコムで放送分の裁判員制度賛成派の河合幹雄桐蔭横浜大学教授の議論は非常に参考になった
河合教授によれば、そもそも裁判員制度は司法制度改革ではなく、いつまでたっても主体的に民主主義という制度の維持に参加しない日本国民を、強制的に「教育」するというマクロの目的があるのだという。たしかに裁判員制度導入によって、司法関係者は誰も得しない。
また、日本は優秀な裁判官を刑事事件のような、国家レベルで見ると瑣末な裁判まで緻密に審議しすぎであり、全体の費用対効果から考えて、これまでの刑事裁判の品質をある程度落としてでも、より重要な裁判にリソースをより重点的に配分すべきだという。
したがって裁判員制度による審議の短縮化は、全体の費用対効果から考えると合理的とのこと。
残る問題は被害者家族の裁判への適切な参加をどう実現するかという、既に始まっているもう一つの司法制度改革だが、これについても、まず、(1)裁判員制度の対象となる事件では、被害者家族イコール加害者であることが少なくないこと、(2)裁判員制度が始まると、犯行現場の惨状が証拠として法廷で開示されたり、被害者家族のメンタル面の支援が重要になること、(3)被害者家族が有罪と確信してきた被告の無罪が目の前で証明されたとき、逆に被害者家族の無念さが深まることなど、被害者家族の参加が必ずしも被害者家族の利益にならない場合が多い点が指摘されていた。
ただ、個人的に思ったのは、僕自身も含め、民主主義は戦い取るものであるという認識のない日本国民に、民主主義を再教育するという壮大な目的は結構だが、市民革命を経ていない日本という国で、たかが裁判員制度ごときでその目的が実現されるとは思えない。
また、河合氏自身も認めているように、裁判員制度は結局、余裕のある大企業が社員に特別休暇をあたえて参加させることを期待しており、結果として制度に参加するのは、大企業の正社員に非常に偏ることになる。裁判員制度の推進者はこのことを認めている。

ならば、日本国民に民主主義を再教育するというマクロの目的と矛盾する。政治参加に無関心で、小泉元首相のポピュリズムに、いとも簡単に動員されてしまうのは、むしろ裁判員に参加する余裕のない国民の方だからだ。
以上のことから、僕個人としてはやはり裁判員制度はあまりに拙速な税金の無駄遣い制度で、導入には反対だ。
河合氏は合法的に裁判員を拒否する国民が多く出てくることは、制度導入の関係者は折込済みだと話していたので、裁判員に選ばれたら拒否できないと、まだ本気で信じている方のために、西野喜一氏の著作を改めてご紹介しておく。