住宅地図とストリートビューの違いについて反論あり

昨日の記事に論拠薄弱な反論のトラックバックがついた。「住宅地図」とストリートビューには決定的な違いがあるという。
その決定的な違いとは、ゼンリンは「表札だけしかみない」のに対し、ストリートビューのカメラはすくなくとも2mくらいの高さから「のぞき込んで」いることだという。
これが何の反論にもなっていないことは、書くまでもないと思うので、読者の皆さんにお任せする。
もう少しよく考えてから反論しよう。というより、トラックバックするくらいなら、もう少しよく考えてからにして欲しい。削除はしないけれど。
...と書き捨てようと思ったが、不親切なので一応反論しておく。
まずは不真面目な反論から。
では、身長2m50cmのゼンリンの調査員が表札だけしか見るのでなく、上からのぞき込んだら、住宅地図とストリートビューの差異は消滅するのか。もちろん答えはノーだ。
この不真面目な反論だけでも、昨日の記事へのトラックバックがほぼ無意味なことが分かる。
次に真面目な反論。
ストリートビュー反対論者が問題にしているのは、カメラで撮影した結果が公開されていることにある。
仮に撮影した映像をグーグル社が社内資料としてのみ利用するなら、というより、撮影した事実さえ公表しなかったら、誰もストリートビューに反対しない。
つまり、ゼンリンであれグーグルであれ、一方は表札しか見ておらず、他方がのぞき込んでいるという、調査時点の方法の差異は、ストリートビュー反対論者の論拠と全く無関係である。
ストリートビュー反対論者が問題にしているのは、調査時点の方法論の「程度の」差異ではなく、撮影結果が公開されている点だ。
公開されているから初めて、「プライバシーの侵害だ」というストリートビュー反対論が成立するのだ。こんなことは改めて論じるまでもない。
では、それが表札上の名前であれ、表札をマスキングした家の門構えの写真であれ、それが公開されている事実について、ゼンリンの住宅地図とストリートビューに「質的な」差異はあるだろうか。
全ての人が表札を出していることで、住宅地図上に公開されることを予期していたわけでも、許可したわけでもない。
にもかかわらずゼンリンは、いわば勝手な解釈で、「表札を出している全ての人が、地図上に公開されることに予め同意している」と見なして、住宅地図を作成している。(個人情報保護法の用語で言えば、いわゆるオプトアウト方式)
グーグルのストリートビューも同じ論理だ。「その辺に家を建てていたり、住んだりしている全ての人が、ネット上にその映像を公開されることに予め同意している」と勝手に見なして、ストリートビューを作成している。これも一種のオプトアウト方式だ。
ただ、両者は完全意味でオプト・アウト方式とは言えない。本当のオプトアウトであれば、本人が要求すれば、その本人の情報は削除されなければならない。
しかし、ゼンリンやグーグルに対して、自分の家の表札名や映像の削除要求を出しても、削除されるとは限らない。
僕が昨日の記事で論じたのは、プライバシー侵害を理由にストリートビューに反対する人々の立場に仮に立ったとき、以上のような理由から、住宅地図とストリートビューに「質的な」差異はない、ということである。
もう一度書く。僕個人がどういう意見かに関わらず、プライバシー侵害を理由にストリートビューに反対する人々の視点に立った場合、ゼンリンとグーグルのやっていることに「質的な」差異はないはずだ、ということだ。
したがって、プライバシー侵害を理由にストリートビューに反対するなら、その人たちは同時にゼンリンの住宅地図にも反対しなければ、論理矛盾をきたしていることになる。それが昨日の記事の主旨である。
この記事に対して、ストリートビューは「のぞき込んでいる」から、住宅地図と決定的に違うという反論が、全く意味をなさないことはもうお分かりだろう。
大前提として、僕は「プライバシー侵害を理由にストリートビューに反対する人たち」の視点を借りて、論を展開しているのである。
彼らの視点を借りた場合、調査時点の方法論の差異が、程度の差異であれ、質的な差異であれ、彼らがストリートビューに反対する理由に全く無関係である。
彼らにとっては、調査結果の表札名や画像が、本人の許可なく公開され、また申請による削除が困難である事実こそが問題なのであり、この点において、住宅地図とストリートビューに程度の差異も、質的な差異もない。
繰り返すが、僕個人にとってではなく、「プライバシー侵害を理由にストリートビューに反対する人たち」にとって差異がない、と言っているだけである。
以上、かなりていねいにトラックバックに書かれていた内容の無効性を説明したつもりだが、それでもご理解頂けなければ、少なくともトラックバックはご遠慮頂きたい。
もちろん、ご自身のブログでいろいろな意見をお書きになるのは自由だが、トラックバックは今後ご遠慮頂きたい。