alanさんミニライブ(東京日本橋三越本店)

体調は優れなかったが東京・日本橋三越本店のalanミニライブに行ってきた。地球環境についてつまらない鼎談の後、結局、alanさんは『懐かしい未来』を一曲歌っただけ。
せまい舞台の真正面を高さ15mの巨大クリスマスツリーが視界を塞ぐという妙な空間で、すでに50席ほどのパイプ椅子が満員だった1階で観るのはあきらめ、吹き抜けの2階の絶好の位置から見下ろすことができた。
alanさんは簡単な日本語ながら、10分ほどの鼎談を通訳なしでこなしていた(僕から見えないところで誰かがカンペを出していたかもしれないが)。
故郷の四川省・美人谷の話や(司会の女性が終始「四川州」と言い間違えていた)、『懐かしい未来』という曲にこめた思いなど、だいたいお決まりの内容を、助詞のない日本語で受け答えしていたが、以前に比べると日本語は確実に上達している。
エコがテーマのイベントなので『懐かしい未来』1曲だけというのは仕方なかったのかもしれないが物足りなかった。毎度、口パクではなく生の歌唱だが、間奏のチベットフェイクも安定感があり、やはり歌唱力は抜群。
今日は真っ白な、お姉さん系モコもこボアワンピースに白いブーツ、ゴールドの細くて大きなリングがバックルの白いベルトと、サンタクロース風(?)の全身白の衣装。
それでもalanさんの透き通るような白くシャープな顔立ちが映えて美しかった。やはりあの美貌はポピュラリティーを獲得するには決定的な武器だ。
ライブが終わったalanさんは、偶然、舞台から吹き抜けの階段を2階の僕のいる側へ上がってきたので、さらに3階へエスカレータで上がっていくalanさんとスタッフたちを至近距離で見送ることができた。
ただ、11月の『恵みの雨』でシングル5枚連続リリースは終わる。映画『レッド・クリフ』主題歌という彼女のデビュー以来最大のイベントも一段落する。
それでも成績が思わしくなければ、エイベックスは彼女をどう扱うのだろうか。
韓国人歌手は韓流ブームのおかげで、日本で売り込むのに政治的なメッセージは不要だが、中国人歌手(しかもチベット族)の場合は、日本語が堪能でバラエティ番組で売り出せない限り、政治的なバイアスを中和するために、逆に政治的メッセージが必要になる。
そのとき環境問題や世界平和は最も無難で、今回のような日本政府と関わりのあるイベントであっても参加できる万能性はある。
しかし、環境問題や世界平和を前面に押し出す限り、浜崎あゆみのようなカリスマ性、帰国子女アーティストが持つようなクールさ、大塚愛のような可愛らしさで売ることはもうできない。
また、環境問題や世界平和をメッセージにしている割に、alanさんのビジュアルは舞台衣装も含めて決して素朴ではない。日本橋三越本店がよく似合う洗練がある。この点は矛盾している。
それは、エイベックスが「アーティストは夢を売る商売だ」という、ベタだけれど説得性のある哲学を持っているからだろうし、環境問題や世界平和もエイベックスにとっては「ネタ」でしかないのだろう。
ただし、環境問題や世界平和はいつまでも「ネタ」で通せる主題ではない。alanさんに自然や平和を体現させ続け、同時に売れる歌手にすることには無理がある。今後、プロデューサの菊池一仁氏が、どこで、そして、どちらに舵を切るのかが興味深い。