仲正昌樹『<宗教化>する現代思想』

昨日は久しぶりの発熱で12時間以上眠っていた。安定剤や解熱剤を使うと不思議なほど際限なく眠れる。

出張の新幹線の暇つぶしに仲正昌樹『<宗教化>する現代思想』(光文社新書)を衝動買いした。著者の仲正昌樹氏は1963年生まれ、東京大学博士課程修了で、高橋哲哉氏より冷めた、東浩紀氏より地道なデリダ研修者として有名(?)。
本書は西洋哲学のイデオロギー色が嫌いな人や、教条的なサヨクの嫌いな人にとっては、とっつきやすい西洋哲学史入門になっている。
また、大学で西洋哲学概説の講義をとっている学生さんには、キリスト教、プラトン、カント、ヘーゲル、ハイデッガー、デリダの思想がコンパクトに紹介されているので、うってつけの西洋哲学入門だと思う。
(「統一教会」を知らないと面白さ半減だが、最近の学生さんはどれくらい統一教会を知っているのだろうか)
この本を読んでいると、個人的には、高橋哲哉氏を批判するためだけに書かれたんじゃないかと思いたくなるくらい、教条主義的なサヨク言説を展開するのにデリダを参照する高橋哲哉氏の振る舞いに対する批判としては、ぴったりしすぎるくらいだ。
でも本書には、高橋哲哉氏の「た」の字も出てこないので、これは僕のうがった見方でしかない。
ただ、本書を読んでも、会社員としての僕にとっては、当然のことながら全くリアリティーがない。「そういえば学生時代、高橋哲哉先生のデリダ『暴力と形而上学』の購読ゼミに出席していたなぁ」という懐かしさしか感じることができない。
それでもたまにこうやって、自分の思想的基盤を再確認してみるのは意味のあることだ。身近に入る会社員たちの凡庸さが際立ってくるのは哀しいことだが。
僕は会社員であっても、真理の探究をあきらめない相対主義的態度を棄てたくない。
会社員であるまえに一市民であり、一市民としての良心は、第一に、会社員として自分がやっている日々の仕事を相対化する立ち位置を保ち続けることだ。