急患受入れ拒否で妊婦死亡も国民の自業自得

医療が充実していると言われた東京都内でも、ついに急患受け入れ拒否で妊婦が死亡したというニュース。根本的な原因は産科勤務医の絶対的な不足で、短期的な解決策はないとのこと。
産科に限らず、全般的に大病院の勤務医が不足しているという。
何の裏づけもない推測だが、そもそも医者になるための高額な学費を負担できる裕福な家庭の子女が、合理的な判断をするようになっただけではないのか?
つまり、親の後を継いで開業医になったり、歯科医など開業医として成立しやすい科で開業するなら医者になるが、大病院の勤務医では激務に見合う報酬が得られないので、他の職業を選択するようになった、というだけのことではないか。
単純化して言えば、所得格差の固定化によって、医者の子供しか医者になるための学費を負担できないのに、医者の子供は医者になる経済的合理性がなくなった、ということだ。
もし政府が本気で大病院の勤務医を増やしたいなら、低所得世帯の子女が医学部に進学する場合に、学費を全額国が負担するとか、一部負担して医師免許を取得した後に、全額還付するなどの政策はどうだろうか。
ただ、それでも、医学部のある大学に進学するには、予備校に通う費用がかかるので、その部分の補助までやらないと、「医者になりたい」と思う子供を低所得世帯にまで広げることにならないが、予備校の費用まで国が負担するのは明らかに公正さを欠く。
かといって、勤務医の待遇を改善して、裕福な家庭の子女にも勤務医になる動機付けを与えれば、医療費が高くなり、国家か患者、どちらかの医療費負担が確実に増える。
こういう状況も、セーフティーネットのない新自由主義政策という、政策的失敗の一つの帰結だろう。
国民一人ひとりは、国家の設計した制度の下で、経済合理性のある選択をしているだけで、その結果が勤務医の絶対的な不足である。一義的な原因は、やはり国家による制度設計のまずさだ。
耐震偽装と建築基準法厳格化による官製不況、汚染米が食用米として流通した問題も、どちらも官僚による制度設計のまずさ。
そしてまずい制度を設計している官僚たちも、非効率的な国会運営のあおりを食って、信じられないほど非効率的な長時間労働を強いられている。付け焼刃的な制度改正しかできないもの仕方ない。
どうやら短期的な解決だけでなく、中期的な解決も望めそうにない。
とりあえずは、自民党の一党支配が長期化したために、議会が官僚をコントロールするのでなく、逆に官僚が議会をコントロールしてしまっている現状を変えるために、定期的な政権交代を定着させる有権者の行動が必要ではないか。
つまり、民主党だって当てにならないかもしれないけれど、自民党の他に民主党しか選択肢がないのだから、自民・民主の二大政党制を実現するところから始めるしかないのではないか。
そういう変化がイヤで、自民党の長期安定政権の方が良いというなら、急患受け入れ拒否で今後100人死のうが、業者と農水省が癒着して汚染米が食用として流通しようが、それは国民が自分で選んだ結果で、「自業自得」ということだ。