加藤紘一氏の「北へ戻すべきだった」発言

自民党の加藤紘一元幹事長が、「拉致被害者5人は北朝鮮へ返すべきだった」と発言したことに非難が集中しているようだ。
しかし、2002年当時、日本が北朝鮮との約束を一方的に破棄して、本来「一時帰国」のはずだった5人を、そのまま永住帰国させたのは、れっきとした事実である。
これは当時の安部首相の、日本国内に対する「人気取り」的な独断であり、外交交渉としては非常にまずい決断だった。5人を永住帰国させてしまったことで、その後の6か国交渉で、日本が外交交渉上の決定的な「カード」を失い、結果として米国や中国に交渉の主導権を握られてしまったことからもよく分かる。
こういう当たり前のことを発言しただけで、日本国中から感情的な非難を受けるのもまた、日本という国の現実である。ただ、日本の世論がこのような形で形成されている限り、日本が北朝鮮との交渉の主導権を握れることは、二度とないだろう。米国の「テロ指定国家解除」についても、言いなりになるしかないのだ。
人情として永住帰国したのは良かった、それはもちろんそのとおりなのだが、外交というのは、どうやらもっと打算的で、ある意味「非情」に進めなければ、具体的な成果を生むことができないものらしいのだ。