コンビニ深夜営業規制に対する稚拙な賛成論

コンビニの深夜営業規制に関する記事に『春夏秋冬 喜怒哀楽』というブログからトラックバック頂いた。
ただ、そのブログの議論があまりに稚拙で、日本人の環境問題に対する認識の低さをよく表しているので、ここで反論してみたい。
まず、そもそもなぜコンビニだけを狙い撃ちするのか?そこが問題の核心なのに、このブログの筆者はこの論点を無視している。
コンビニの深夜営業がダメなら、ファミレス、スーパーマーケット、ファーストフード(ハンバーガー、吉野家もすべて含む)、飲み屋、銀行ATM、ラジオ・テレビ等の放送、インターネットプロバイダ、携帯電話・固定電話など各種通信事業者などなど、ありとあらゆる24時間サービスについても、当然、規制対象にするかどうかの議論は少なくともすべきである。
このブログの筆者の言うように「北極のクマさんや、南極のペンギンさんだけでなく、あなたや私の子供達にも有効」な議論をするなら、いま日本で深夜営業している全ての業種・業態を対象にすべきではないのか。
なのに、なぜ今、コンビニだけが狙い撃ちされているのか?この点こそが最も重要な論点なのに、この『春夏秋冬 喜怒哀楽』というブログの筆者は、この論点を完全に無視しているのだ。
この筆者の議論をそのまま採用すれば、そもそも夜中に自宅のパソコンを起動してブログの記事を書くこと自体、「北極のクマさんや南極のペンギンさん」に悪いのではないか?
また、このブログの筆者はプログラマのようだが、コンビニの深夜営業規制に賛成しておきながら、仮にご自身が深夜残業をした経験があるとすれば、そのことは正当化するのか?
自分の勤務する会社が深夜残業を許しているなら、まず自分の会社に対して、地球環境を守るために、一切の深夜残業を禁止せよ!という要求を、労働組合を通じて提出すべきではないのか?
コンビニの深夜営業に文句を言うなら、まず自分の深夜活動を規制することから始めるべきではないのか?
それをやらずに、コンビニ業界が所詮「他人事」であるのをいいことに、安全な立場からコンビニの深夜営業規制に賛成するというのは、それこそ自己中心的な考え方である。
残念ながら、一般的な日本人の環境保護に関する議論のレベルは、この程度のものなのである。
では僕の意見はどうなのかと言えば、コンビニの深夜営業規制をするなら、上に挙げたように、コンビニ以外のありとあらゆる業態・業種の深夜営業・深夜操業も禁止すべきである。
特に大手製造業の工場の深夜操業も停止すべきである。鉄鋼、自動車、精密機器、家電、あらゆる工場の深夜連続操業も停止すべきだ。
しかし、自民党政府がそんなことをできるわけがない。経団連を初めとする各種経営者団体の反発を食らえば、政治資金が集められなくなるからだ。
だからこそコンビニのように、流通業界の中でも政治的発言力の弱い業界が「狙い撃ち」されるのである。『春夏秋冬 喜怒哀楽』の筆者はそういった政治的な背景を考えてみたこともないだろう。
ただ、CO2の排出を抑制するために、政府と経営者団体の利害が一致する政策はいくつかある。その一つは、原子力発電の推進だ。原子力発電はCO2の排出が非常に少なく、発電効率も高い。まさに「地球にやさしい」発電方法なのである。
さて、『春夏秋冬 喜怒哀楽』の筆者は、原子力発電推進派になれるだろうか?
白クマさんやペンギンさんの生命を優先するなら、先進諸国で原発事故が発生して、多少、放射能漏れで人命が失われても、その確率はきわめて低いのだから、日本中に原子力発電所を建設すべきではないか?
送電効率を考えれば、冷却水が確保できる限り、できるだけ都市圏に近い場所がいい。つまり、神奈川、千葉、茨城、静岡などに、もっとたくさん原子力発電所を建設し、火力発電所を廃止すれば、CO2排出は劇的に削減できる。何なら、お台場か、晴海あたりに建設するのもいいだろう。
要するにこの『春夏秋冬 喜怒哀楽』の筆者は、自分自身も自分の勝手な都合で議論を組み立てているのに、その自覚がまったくないのである。自分は公正無私な意見を述べていると思い込んでいるのである。
このように、ほとんどの日本人の「エコ意識」は、単なる理想論に終わっており、現実的な有効性に乏しい。
たしかに日本の国家全体の経済活動を縮小すれば、CO2の排出量は削減される。コンビニの深夜営業規制という、僕に言わせれば「ナンセンス」な意見もその一つだ。
しかし、よく考えてみてほしい。国家全体の経済活動を縮小したとき、まっさきに失業したり、経済的貧困に陥ったりするのは、富裕層ではなく、社会的弱者である。
『春夏秋冬 喜怒哀楽』の筆者は、夏には熱中症で、冬には凍えて死ぬホームレスが増えても、白クマさんやペンギンさんのために日本の経済活動を縮小すべきだと言うのだろうか?
最近悪評の高い「日雇い派遣」くらいしか働き口のない、まともな職業訓練を受ける機会を奪われた20代、30代の若者(ニート)がもっと増えても、白クマさんやペンギンさんのためにはやむをえないというのか?
CO2排出量の削減という問題は、そんな単純な問題ではないのだ。

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  1. 風まかせ

    コンビニの深夜営業の是非

    コンビニの深夜営業自粛 名古屋市長は「考えていない」(朝日新聞) – goo ニュース
    地球温暖化防止対策の取り組みのひとつとして
    コンビニの深夜営業の自粛問題が色々と議論されているようです。
    深夜営業をやめることでの温暖化防止対策の効果は
    営業時間が短くなった分だけ室内照明の電気代が削減されるが、
    冷蔵庫などはそのまま稼動しているので効果が営業時間に比例しないようです。
    名古屋市の試算では0.001%の削減効果しか出ないので
    自粛は求めないそうです。
    何が効果を挙げるかをよく考える必要があります。…