衛慧『上海宝貝』を読んだ



先週、1970年代生まれの上海の女流作家、衛慧の『上海ベイビー』(文春文庫)を読んだ。中国では発売禁止処分になっているが、原文はインターネットで読むことができる。
卫慧《上海宝贝》
この種の小説はあまり読まないので貧困な読後感しか書けないが、文体は山田詠美を連想させた。そしてヘンリー・ミラーやデュラスなど、欧米の現代文学、音楽などからの引用が豊富で、とても洗練されているのに驚いた。
おそらく著者の衛慧は、上海の中でも文化水準において特権的な集団に属しているのだろう。
ただ、特にこの物語の主題に目新しいものはない。最終章の「私は誰」からも分かるように、この一見、退廃的な物語の主題は、実はかなり「近代的」で道徳的だ。
メタフィクションのように見えるが、実際には私小説的な小説であり、自己言及的というよりは自己愛的な小説だ。
美しい小説であることに違いはないが、飽くまで近代的な美しさの小説だ。