サラリーマンに役所の「裏金」を批判する権利はあるか?

先日、日本テレビのニュース番組が、地方自治体の「裏金」問題を取り上げていた。同社のかんたんな電話調査だけで、31都道府県で計450億円以上の裏金の存在がわかった。しかもこれは都道府県庁だけ。市区町村は含まれていない。
記者が大阪市内のさまざまな区役所の「裏金担当」にインタビューすると、淡々と裏金の実物の札束や、使用記録の書類を見せる。職員の態度があまりに淡々として、まったく罪悪感が見られない点を、番組の中は驚くべきこととして取り上げていた。
もちろん裏金問題そのものは許されないことだが、果たして役所の中で代々裏金を引き継いできたメンタリティーは、民間企業にとって他人事といえるだろうか?
民間企業でも先輩から代々引き継がれている業務というものがあって、その中にはバレれば明らかに違法なものから、グレーゾーンのもの、まったく法的に問題ないものまでいろいろある。
明らかに違法な業務を、日常的に闇に葬る作業をしていない民間企業が、いったいどれくらいあるだろうか。
そういうことを指摘する人間を、水くさいヤツ、和を乱すヤツ、付き合いの悪いヤツとして排除するのが、役所や民間企業にかかわらず、日本の組織に広く見られるメンタリティーではないのか。
僕は過去7回転職し、8社経験しているが、少なくともそのうち4社で、違法と思われる業務が代々引き継がれていることを目撃している。明るみに出て、大々的に社会的制裁を受けたのは、このうち1社だけだ。
僕はこれまで、民間企業のダーティーな現場から比較的遠いところで働いてきたが、その僕でさえそうなのだから、大多数のサラリーマンは自分の会社で違法行為が隠ぺいされていることを知っている可能性がある。
街頭インタビューで「裏金は許せない」と義憤にかられているサラリーマンたちに言いたい。じゃああなたたちは罪を犯していないのかと。地方自治体の裏金問題を、他人事のように非難する権利があるのかと。偽善もはなはだしい。
以前から言っているように、僕は日本がそれほどきちんとした法治国家だとは考えていない。法的に正しいことが尊重される社会だとは思っていない。日本人の一般的な「民度」は低く、近代法のさまざまな原則をまだ理解できていないからだ。
捕まりさえしなければ、見つかりさえしなければ、法に触れることをやっても構わないというのは、日本人としてごく普通のメンタリティーではないかと思う。
市民の税金を「裏金」として使い込む公務員を、バッサリ切り捨てられるほど法的に正しい日本人がいったいどれくらいいるだろうか?