NHKスペシャル「上海から先生がやってきた~貧困の村で~」

最近NHKスペシャル『激流中国』の「上海から先生がやってきた ~貧困の村で~」という番組を観た。上海の女子大生が、ボランティアで貧しい農村に赴き、教師として一年間生活する様子を追ったドキュメンタリーだ。
一人の女子生徒は、努力家にもかかわらず成績が伸びない。女子大生の教師が家庭訪問すると、父親は亡くなっており、母親は仕事中の負傷で仕事ができず、兄が生計を立て、女子生徒は家事をすべてやらなければいけないので勉強する時間がないのだ。
しかも母親の手術代に銀行から借金をしていて、女子大生の教師と銀行に行くまで、高額の利子がついていることさえ知らないでいる。何とかその生徒を大学に進学させようと、女子大生の教師は奨学金の候補に推薦するが、仲間の大学生のボランティア教師との話し合いで却下されてしまう。
上海の裕福な家庭で、何の不自由もなく育ってきた女子大生が、初めて自分の無力さを気づかされて慟哭する様子は、考えさせられるものがあった。
でもこれって、どこかで見たような。中国政府はかつて、大学生を強制的に農村に送って労働させていなかったか。そう、「下放政策」のことだ。
もちろん今回はボランティアで、決して強制ではないが、ボランティアの教師になることで進学に有利になるなど、インセンティブの利かせ方が巧妙になっているだけのような気がする。
今も昔も中国の農村と都市部の経済格差は大きく、それを橋渡しする「政策」がインテリ層を巻き込んで講じられている形式も似ている。この種の「政策」が将来の経済格差の改善に役立てばと願わずにはいられない。