年末年始のBlackBerry関連記事拾い読み

世界中で北米だけで大ブレイク中のブラックベリー(BlackBerry)というスマートフォン(高機能携帯電話)が、日本では絶対に普及しないということは以前から何度も書いている通りだが、年末年始に興味深い記事と、相変わらず見当違いな記事があった。
まずは見当違いな記事の方から。
「スマートフォンBlackBerryの企業導入が拡大」
この記事によればシステムインテグレーターの構造計画研究所によれば、「最近では1社で500台以上の端末を導入するケースも相次いで登場した」のだそうだが、これが事実なら実名を公表すべきだろう。それに、数十~数百万単位の国内スマートフォン市場でたった500台が数社に販売されたことが、何か市場にインパクトでも与えるというのだろうか。この記事は根拠薄弱な希望的観測に過ぎず殆ど無意味だ。
「ライバルはスマートフォンではない!? BlackBerryの魅力を直撃」
昨2007年末に開催されたSalesforceのカンファレンスの報告記事だが、三段落目の「欧米と日本の温度差」という小見出しがリサーチ・イン・モーション・ジャパン社員とこの記事を書いた記者の認識不足を如実に示している。先日もここでご紹介したように、BlackBerryは欧州を含む北米以外の地域では殆ど売れていない。カナダと米国のスマートフォン市場だけが、世界中で非常に特殊な状況を示している。つまりこの小見出しの「欧米と」という部分は端的に間違いで、「北米と」と修正すべきだ。RBB TODAYは事実と異なる記事を早急に訂正すべきである。
以上のようにブラックベリー(BlackBerry)については相変わらず根拠が無かったり事実を異なったりする記事が、著名なIT系ニュースサイトで平気で垂れ流しにされている。もう少し公正な評価がされれば、まだBlackBerryにも国内普及のチャンスはあるのに、この種の純然たる大衆扇動がまかり通っている限り、見識ある日本企業の経営者はBlackBerryを選択しないだろう。
次に興味深い記事の方を紹介する。
「ユニバーサルミュージック メールや予定を携帯に自動配信,情報“時差”短くし業務効率アップ」
こちらはBlackBerry同等のサービスがより安く米ビスト(Visto)社から提供されており、日本のユニバーサルミュージックの導入事例紹介だ。最初にご紹介した記事とは違ってちゃんと実名入りである。
この記事によればソフトバンクのWindows Mobile端末を使って、パケット定額制でBlackBerryと同等のサービスを利用できるようになったとのこと。ちなみにNTTドコモのBlackBerryサービスはパケット定額制対象外で、月額通信料金は青天井である。
Visto Mobileの詳細はこちらのページを参照のこと。BlackBerryと異なり、こちらはシンビアン、Windows Mobileなど複数のスマートフォンOSで使えるので対応機種が多い。しかも原理はBlackBerryと同じなのでセキュリティレベルも変わらない。
こういうサービスが既にあるのだから、日本国内でBlackBerryを選択するのは殆どナンセンスと言えるだろう。
「2008年のIT業界注目トピック ベスト10 グリーンIT、仮想化、国際的ハッカーの暗躍…IDG News Serviceが大予想」
こちらは米国IDG News Service発の記事だが、次の一文がなんと言っても興味深い。「ちなみにIDG News Serviceは、Microsoftが『BlackBerry』を提供するカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)を買収するだろうと踏んでいる」。
ただ米Vistoのような類似サービスが既に登場していることからして、BlackBerryの技術的優位性はない。マイクロソフトが本当にリサーチ・イン・モーション社を買収するとすれば、BlackBerryのサービスをWindows Mobileでも稼動するように変更して端末側も囲い込む意図がある場合だけだろう。
いずれにせよマイクロソフトの資金力をもってすれば、リサーチ・イン・モーションの買収など容易だろう。
3年後には「BlackBerryなんていうスマートフォンが北米限定でよく売れていたねぇ」という昔話になっていることはほぼ間違いない。