日本にSIPベンチャーが出てこない理由

小池良次という人が「米国情報通信ブログ」と称して、IT総合情報ポータルの「ITmedia」に「SIPベンチャー、Ribbit~最初のシリコンバレー電話会社?~」という個人ブログの記事を転載している。
記事の最後に、「日本ではこの手のSIPベンチャーが出てきませんね?米国に比べて遙かに電話料金が高いわけだから、ビジネスになるような気がするのですが。どなたか理由をご存じなら、教えてください。」と書いてあるので、頼まれもしないが勝手に答えておく。
日本企業の電話文化には「グループとして電話をとる」文化があり、1対1で話す機能しかない電話サービスでは使い物にならないからだ。
日本企業で働いたことがある人にとっては当たり前だと思うのだが、やはり米国西海岸的文化に毒されてしまった日本人には、すぐには思い当たらないらしい。
上述の記事には「米国ではすでにSIPベンチャーが出てきているのに、日本にはなぜまだ出てこないのだ」という具合に、「米国より日本は遅れている」という含みが読み取れる。
具体的に指摘すると、「音声サービスは、高度な設備と巨大なネットワークを使う電話時代がおわろうとしている」という一文だ。つまり、日本の電話はまだ旧時代の電話設備にしがみついていて、米国はそこから早くも脱出しようとしている、という意味だ。
これはどう読んでも、日本より米国の電話の方が進んでいるという意味に読める。
しかし実際には、米国の電話文化と日本の電話文化は単に「違う」だけであって、どちらが進んでいるということはない。「SIPベンチャー」がまだ出てこないからといって、それをすぐに不思議がる必要もまったくない。
梅田望夫氏も含め、こういう風に米国発で日本の後進性を指摘する人たちには、困ったものである。
日本と米国の間にあるのは「違い」だけであって、別にどちらが「進んでいるか」ということではないのだが、こういう人たちは米国から情報を発信することで、日本よりも進んだ情報をいち早く日本に伝えることができると、誤って思い込んでいるのである。
日本人はいつになったら、こういった「名誉白人」的な感覚から逃れられるのだろうか。この種の米国偏重から逃れない限り、日本はアジア外交において、いつまでたっても主導的な立場をとれないのだが。