ふつうの人にとって便利な電話とは?

今日は少しヘンなことを書く。皆さんは自宅の電話番号を、電話機の番号だと感じたことがあるだろうか。携帯電話の電話番号を、電話機そのものの番号だという感覚を持ったことがあるだろうか。
妙な質問なので、きっと戸惑われるだろう。皆さんの自宅にはおそらく固定電話があって、自宅の電話番号をかければその電話が鳴る。それは当然だが、その自宅の番号のことを、「電話機自体が持っている番号だ」とお考えになったことは、おそらくないと思う。
というのは、その電話機を持ったまま引っ越したとする。一部のIP電話など特殊な契約でない限り、引越し先では電話番号が変わる。同じ電話機が、今度は新しい電話番号にかけると鳴るようになる。
何を当たり前のことを書いているんだと言わず、もう少し読んで頂きたい。
では携帯電話はどうか。ご承知のように、携帯電話を新しい機種に買い換えるとき、新規契約しなおして番号が変わるパターンと、電話機だけを買い換えて番号は変えないパターン(いわゆる機種変更)のどちらかを選べる。
番号ポータビリティ制度が始まってからは、別の携帯電話会社に乗り換え、電話機を買い換えても、番号をそのままにすることができるようになった。
なので、携帯電話の番号のことを、「携帯電話機そのものが持っている番号だ」とお考えになったことは、あまりないと思う。番号を変えずに、電話機だけを新品に買い換えることができるからだ。
つまり、普通の人たちは「電話機そのものが電話番号を持っている」という発想をしないものである。電話番号は電話機と無関係であって、むしろ「自分の家」の電話番号であり、「自分の」携帯番号だ、という感覚の方が正常だろう。
会社で使う電話も同じことだ。自分の机にある固定電話そのものが、特定の番号を持っているなどという発想をする人は普通いない。
たしかに会社の電話は家庭の電話にない高度な機能がある。たとえば部署の電話番号というのがあって、その番号に社内や社外からかけると、同じ部署にある電話機がいっせいに鳴る。
また、会社によっては個人別にダイヤルイン番号が与えられていて、社外から直接あなたの机にある電話だけを鳴らすことができる。
いずれにせよ、あなたの机の上にある一台の電話が、部署番号にかけても鳴るし、個人のダイヤルインにかけても鳴る。ここでも「電話機そのものが特定の電話番号を持っている」という発想はしづらい。
僕らは漠然と「自宅の電話番号」「自分の携帯番号」「自部署の代表番号」などと思いながら電話を使っているだけであり、いちいち「電話機そのものが持っている番号」のことなど気にせずに使えるからこそ、電話は便利な道具なのだ。
僕は個人的に、究極の電話の世界は、全員が携帯電話しか持たないような世界だと思っている。そうなれば「自分の携帯番号」だけ覚えていればよくて、電話をかける側から見ても、一人につき一つの番号さえ覚えればいい。
会社でも同じことだ。全社員が携帯電話だけ持つようになれば、電話はとってもシンプルになる。社内からも社外からも、ある人に電話をかけたければ、その人の携帯番号さえ知っていればいい。
社内からかけるから内線番号で、社外の人はダイヤルインの外線番号で、などといった区別もなくなり、かける側が社内の人であろうが、社外の人であろうが、とにかくその人の携帯番号さえ覚えていればいい。
こういう電話世界がいちばんシンプルで、万人にとって便利だと思うのだが...。