テレサ・テンの感動的な美しさのビデオCD

鄧麗君(テレサ・テン)のビデオCDを輸入してみた。YesAsia.comというWebサイトで、購入したのはTeresa Teng 1976 Concert In Hong Kong Karaokeと、Teresa Teng In 1978 Karaoke VCDの2枚だ。
鄧麗君の中国製のカラオケ機能つきビデオCDには、本人映像が収録されていなかったり、収録されていても勝手な編集がなされたものだったりで、注意が必要だ。
インターネットであちこち調査した結果、この2枚にはは1970年代後半の鄧麗君の映像が、勝手な編集なく収録されていることがわかり、購入した。
「Teresa Teng 1976 Concert In Hong Kong Karaoke」の方は1976年の香港利舞台でのコンサートを収録したもので、ショートカットの当時23歳の鄧麗君が、ロングドレス姿で北京語、英語、日本語の歌を落ち着いたステージングで歌っている。
最後に特別映像として、何のテレビ番組なのか、同じスタジオのセットで3曲を歌う映像が収録されている。これも髪型が同じなので同じころのものらしい。
個人的には日本語や英語曲には興味がないので、王菲がアルバムでカバーした「千言萬
語」や「黄昏裡」(といってもこれは原曲は日本語)が楽しめた。
ただ、ビデオCD再生機能つきのDVDプレーヤーにかけると、最後に近づくほど読み取りエラーが頻発するので、パソコンの方が安定して観ることができる。また、ステレオの左音声がカラオケ、右音声がライブ録音となっているのが、やや困ってしまう点だ。左音声のみ、または、右音声のみをモノラルで再生できるプレーヤーでの視聴をおすすめする。
「Teresa Teng In 1978 Karaoke VCD」の方は、この商品名だけを見てもわからないが、1978年香港で収録された鄧麗君の特集テレビ番組と、どうやらファンが撮影したらしい8mmビデオの秘蔵映像を収録したものだ。以下に内容を詳しくご紹介する。
オープニングは「小村之恋」のイントロをBGMに、香港に飛行機で到着した鄧麗君の、飛行場からスタジオまでの映像。そしてスタジオで黒いチャイナドレスを着た本人が、カメラ目線で語る次のようなナレーションが入る。
各位观众你好。每次我来香港都觉得特别的亲切。因为我在香港的时间不多,每年只不过来香港两次。每次逗留的时间,也不会超过一个星期。但是香港的朋友,对我还是那么热情和爱护。所以每当我来香港不管有多忙。我都要抽时间为位朋友唱歌。不知道为什么,每次当我踏入无线电视台,我就觉得好像回到自己的家一样。
そのまま広いリビングルームを模したセットで、アップテンポな一曲目「謝謝你常记得我」が始まる。
二曲目の「香港之夜」は、後ほど「月亮代表我的心」にも登場する、一軒家の庭のようなセットのブランコで本人が歌っている。一曲目と同じ衣裳だ。
三曲目の「小村之恋」はYouTubeでも観ることができる映像で、農村を歩きながら本人が歌う屋外ロケーションによるプロモーションビデオになっている。
四曲目が「月亮代表我的心」。個人的にはこの部分だけを観たくてこのビデオCDを買ったようなものなのだが、二曲目と同じスタジオセットをスパンコールのロングドレスでゆっくりと歩きながら歌う。
五曲目の「多情的玫瑰」(玫瑰とはバラの花のこと)は一曲目と同じセットで、ソファーに座り、ひざの上に子犬を抱きながら口パクで歌っている。
六曲目の「四个愿望」(ちあきなおみの原曲をかなりアップテンポに編曲)も一曲目と同じセットで、オレンジのスパンコールのロングドレスで、軽く踊りながら歌う。
七曲目の「水涟漪」(涟漪とはさざ波のこと)は公園のような場所でのロケ。ワンピースでゆっくり歩きながら歌う。
八曲目はなぜか再び「小村之恋」で、東京の多摩川(?)近辺とおぼしき場所でのロケ。白いノースリーブのロングのワンピースで、街中をゆっくり歩きながら歌っている。三曲目のビデオはなぜかノーメイクで、かなり老けて見えるが、こちらはしっかりメイクをしている。もちろん口パクだが、録音は三曲目のものと全く同じだ。
九曲目は「你在我心中」。スタジオの舞台形式のセットで、臙脂色のロングドレスで歌っている。中ほどと最後の部分だけ、緑色のスパンコールドレスに衣裳換えする。原曲は「夜のフェリーボート」で、王菲もカバーした曲だ。
十曲目は「又见炊烟」で、九曲目と同じセットで歌っている。これは日本では「里の秋」として知られている曲で、やはり王菲がカバーしている。左耳に花を一輪つけていて、他のスタジオ収録部分と明らかにメイクが違う。アイシャドーが軽めな代わりに、チークの赤が目立ち、少女っぽい雰囲気になっている。
十一曲目は「雨不停心不定」。九曲目、十曲目と同じセットで、鮮やかなオレンジのロングスカートで歌っている。メイクは十曲目と同じメイクのようだ。
十二曲目は「我心深处」で、続けて同じセットで、今度は真っ赤なロングドレスで髪を後ろでまとめたところに大きな赤い花をつけ、腰掛けたまましっとりと歌う。
十三曲目の「相见在明天」も同じセットで、紫のワンピースだが、メイクは九曲目までのスタジオ収録のものに戻っている。
そしてエンディング。ホテルでベッドの上に開けたスーツケースに洋服をたたんで入れながら、鄧麗君がカメラに向かって次のように語る。
我又要走了。有时候我就是要这样来去匆匆的。不过只要相聚的时刻。我们和我同样的开心。那么时间的长短也不重要呢。对不对。
ナレーションの終わりに重なるように、「再见!我的爱人」のイントロが流れ、ホテルの部屋からボストンバッグを提げて出てくる鄧麗君。スローモーションがスチルになり、鄧麗君の題字が出て、ここで特別番組は終了。
ここからはおまけで収録されている映像になる。
まず、東京の原宿にあった鄧麗君の自宅と言われている部屋で、いやに豪華なソファーに草色のワンピースで腰掛けている本人が、くつろいだ様子でカメラに向かって次のように語る。
冒頭の自己紹介以外はQ&A形式になっていて、質問というか、話題は、字幕で出てくる。
なお、話しているのが広東語なまりの北京語なのか、広東語なのかよくわからない。鄧麗君の両親は大陸出身で、北京語が母語のはず、北京語がなまってしまうことはないはずなので、広東語を話しているのだと思われる。
各位朋友,你们好。我是邓丽君。这里就是我在东京的家。我来这里已经有四年的时间了。如果问我比较喜欢东京还是香港,那我一定是比较喜欢香港了。因为香港的人情味很重。
四年来在日本的生活情形-我在日本的生活,平常除了上班以外,就是留在家里看看电视,听听音乐,有时候开车,带我妈妈去横滨吃中国菜。那里除了中国餐厅以外,也没别的好看了。
还有没有去过别的地方-啊,还有就是我上一次,去了欧洲和美国回来以后,我在美国纽约看过他们的音乐剧。那些人跳得又好唱得又好。所以我回来日本以后,我现在正在学现代舞和弹钢琴。
四年も日本に住んでいるのに、東京よりも香港の方が人情が厚くて好きで、横浜は中華街の中華料理屋のほかに見たいところはなかった、という感想が、日本人としてはやや悲しいところだ。
語りの最後に、いまモダンダンスとピアノを習っていると話していることから、本人がピアノで「知床旅情」をアップライトのピアノで弾き語りする場面に変わる。日本語字幕つき、日本語での歌唱だ。日本語の歌詞の譜割りがややおかしいのは、ご愛嬌といったところか。ただ、途中でフェイドアウトして、この原宿の自宅での場面は終わりとなる。
そしてこのビデオCDの最後、1978/09/18、香港でのファンの集いらしき場面の8mm映像。おそらくフィルムの退色が激しいのだろう、画面全体が赤紫で、画質も非常に悪いのだが、舞台上で長机の前に座って、ファンからの質問に笑顔と大げさなジェスチャーで快活に答える鄧麗君の様子が微笑ましい。
そしてこの映像のBGMが、美しいバラードの「心里梦里」なので、鄧麗君の追悼という趣旨のビデオCDのエンディングとしては、少し涙が出そうなほどだ。この曲の歌詞に「我知道我不能没有你」とあるが、おそらくそれは、この8mmで撮影された会場にいた彼女のファンの心情も代弁しているからだ。
そしてこのビデオCDにはブックレットが付録になっていて、1978年の鄧麗君の動向を写真入りで伝えている。冒頭だけ引用すると、1978/01/28は香港の飛行場で記者会見、02/18はマレーシアでコンサート前に旧暦新年の記者会見、02/12はクアラルンプールでコンサート...という具合だ。
そういうわけで、どちらも1200円そこそこのビデオCDだが、特に「Teresa Teng In 1978 Karaoke」の方はロングヘアーの鄧麗君が非常に美しく、それだけに悲しい余韻をたたえた内容になっている。香港、台湾での鄧麗君ファンなら買って間違いのない商品だ。