旭山動物園への旅:その1

2007/07/10(火)、貴重な有休をつかって札幌に来たついでに、足をのばして旭山動物園に行ってきた。札幌に来た最大の目的は、じつは決して観光ではないのだが、そのことについては別途書きたい。
年間入場者数が東京・上野動物園にせまるというので、夏休み前の平日だったが、それなりの混雑を予想し、札幌中心街にあるビジネスホテルを朝6時過ぎに出発した。
札幌から旭山動物園まで公共交通機関で往復するには、JRみどりの窓口で専用のチケット、大人5,500円を購入するのがいちばんお得だと思われる。
旭川までの往復の乗車券・自由席特急券、旭川駅から動物園までの往復のバス乗車券(ちなみに単独で買うと片道400円)、動物園の入場券、これらすべてがセットになっているのだ。
札幌~旭川間は意外に遠く、特急で1時間半かかる。旭川まで乗換えなしで行ける直通の各駅停車は一日数本しかなく、朝早く札幌を出ても旭川着が午後になるので、動物園をたっぷり楽しみたいなら特急を使おう。
僕は朝6:55分発の始発の特急に乗った。定期券をもつ通勤客もいたようで、自由席はほぼ満席だった。この分だと夏休みなどのハイシーズンにはよほど早くから並ばないと自由席は座れないに違いない。1時間半立ちっぱなしが嫌な方は、事前に指定席を予約しておこう。
特急の中は指定席も自由席も左右2列ずつでゆったり座れ、車内販売こそないものの、自動販売機や洗面所、男性用、女性用トイレもあり、設備は新幹線並みの快適さだ。
とはいえ、終点の旭川駅に到着するときの車内放送まで、音楽が「鉄道唱歌」、日本語の後に英語のアナウンスつきと、新幹線並みになっている理由は謎である。
札幌を出て15分もするとすでに周囲は大自然。進行方向に向かって左側の窓際にすわると、地図を見る限りおそらくピンネシリという山だと思うのだが、遠くになだらかな山並みが望める。
途中の停車駅周辺のさびれ具合に比べ、旭川駅に着いてみると意外なほど都会で、駅前にはA館、B館にちゃんとわかれた西武百貨店まである。
札幌にもある「エスタ」(たぶんスペイン語からとっているのだろうが)という駅ビルの前を歩いて、そのまま横断歩道をわたり、すぐ右へ曲がると少し古めかしいアサヒビルという商業ビルがある。
そのビルの東南角を左に曲がってすぐの5番バス乗り場が、旭山動物園行きの41番線、47番線バスが出る停留所だ。他の番線のバスも出るので、間違って乗らないようにしよう。
この動物園行きバスは、運転席左上の天井部分にオレンジ色の数字で料金表示が出る、いたって普通の乗り合いバスで、まったく旅行気分がもり上がらない。ここは逆に、旭川市民になったつもりで乗るのがよい。
駅前から動物園までおそよ40分もかかる。決して山道をくねくねと遠く登っていったりするわけではないのに、なぜそんなに時間がかかるのか。
旭川市の市街地も、北海道の他の大都市と同じく、タテヨコに整然と区画が割られているので、バスも平坦な市街地の中を、ほとんど曲がることなく走る。
なのにどうして40分もかかるのかと言えば、途中、旭川市民にとって必要なバス停に、ふつうに一つずつ停車しながら進むというだけのことだ。もちろん誰も「止まります」ボタンを押さず、待っている人もいないバス停は通過する。
当たり前のことを書いているようだが、動物園行きのバスは、そういう元アイヌの土地も含めて日本国中、どの街にもある当たり前のバスであり、たまたまそれを観光客が占領しているだけなのだ。
ただ、個人的にこのバスに乗っていて驚いたことがあった。それは病院の多さだ。誰か旭川市出身の人がいたら教えてほしいのだが、路線バスのルートになっている通りの南側が、おそらくおよそ1キロくらいにわたって、内科、小児科、歯科、皮膚科、泌尿器科と、ありとあらゆる病院が建ち並んでいるのだ。
旭川駅前にも、大型ホテルと見まがうばかりの総合病院の立派な建物が目立っている。旭川市は北海道の他の市よりも医者が儲かる仕組みにでもなっているのだろうか。
インターネットで調べてみると、やはり旭川四条近辺の国道39号線沿いは「病院銀座」と呼ばれているらしい。
それはどうでもいいとして、路線バスは動物園の直前でようやく、旭山にいたるゆるやかな坂道を登り、ほどなく動物園の正門前に到着する。バスは正門前の駐車場には入らず、左折して路肩の操車場のような広場に入り、ぐるっと方向転換してから停車する。
正門前の駐車場には一般車や観光バスが駐車されており、当然のことながらアスファルトで舗装され、普通の駐車場のように車一台ごとの空間が白線で描かれている。
ところが路線バスの停留所は、驚くべきことに舗装されておらず、白い砂利のまま。しかもバス停は停留所の標識がぽつんと立っているだけで、雨風よけの屋根もなければ、待合用のベンチもない。
人気動物園のバス停がこんなに貧相でいいのかと思ったが、これも路線バスを経営する旭川電気軌道株式会社の良心なのだろうか。
というのも、旭山動物園がこれだけ人気なのだから、普通のバスの内装を、ぬいぐるみを天井からぶら下げたり、園内の写真を車内に貼り付けたりして安上がりに改装し、駅前から動物園までノンストップにする代わりに、通常運賃400円を580円くらいとればちょっとは儲かりそうなものだからだ。
それ以外にも動物園人気に便乗しようと思えば、記念乗車券や、バスにホッキョクグマがまたがったぬいぐるみなど、いくらでもできそうだ。そうやって得た利益で動物園前の停留所を整備して、バス待ちの乗客目当てのみやげ物屋を開けばさらに儲かりそうだ。
旭川駅発着の特急が1時間に2本しかないので、バスは増便しても乗客の実数は増えないだろうが、地元企業も巻き込んで、地域振興のために動物園人気をもう少し活用するのは決して悪いことではないと思うのだが。
動物園とまったく関係ない話に終始してしまった。肝心の動物園の話は後半にゆずる。