自殺増を抗うつ剤のせいにするのは厚労省の保身

今朝2007/06/28の毎日新聞に「抗うつ剤:『パキシル』服用の自殺者増加 副作用の疑い」という見出しで、厚生労働省の調査結果にかんする記事が掲載されたらしい。(僕は毎日新聞をとっていないのでWebサイトでしか確認できないのだが)
この見出しと併載のグラフだけを見ると、まるで抗うつ剤のせいで、うつ病患者の自殺が増えているかのような印象を与える。毎日新聞は明らかに、わざとそうしている。
厚労省の外資系製薬会社に対するネガティブ・キャンペーンの片棒を、毎日新聞があっさりかついでしまっているといったところか。
そしてここには、もう一つ見え隠れする意図がある。うつ病による自殺を抗うつ剤のせいにすることで、うつ病の環境的な原因から世論をそらすことだ。
日本のうつ病の環境的な原因で最大のものは「同調圧力」だろう。つまり、みんないっしょに仲良くすることを強制し、突出した個性を嫌い、目立つ人間をつまはじきにする空気のことだ。
都市圏では地域共同体が崩壊し、となり近所の密な付き合いもなくなり、少子化で兄弟が少なくなったこともあり、そもそも同調圧力を利用して組織を維持することに無理が出てきている。
にもかかわらず、日本の学校組織や会社組織は、いまだに個人間の違いをできるだけ目立たせないようにして組織を維持する方法しかとらないので、個人と組織の間にズレが生じる。
企業の人事評価に成果主義のような個人間の違いを前提とした制度をもちこんでも、企業組織そのものがいまだに同調圧力、たとえば、夜の飲み会をベースにした人間関係の構築や、つきあい残業をふくむ長時間労働の半強制などを利用して維持されているので、不具合が起こるのは当然なのだ。
そうした根本的な環境要因にくらべると、医師による抗うつ剤の投与のやり方がまずいなど、部分的な問題でしかない。
厚生労働省としては外資系製薬会社に責任をなすりつけることで、国内の製薬会社の利益を保護できるだけでなく、自殺者の増加やうつ病対策の遅れに対する批判をそらすこともできるので、一石二鳥といったところだろうか。

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