「熱狂の日」のバカ親たち

三年目にして初めて「熱狂の日」(La Folle Journée)に行ってきた。90人編成のオーケストラのムソルグスキー『展覧会の絵』がたった1,500円で聴けるのだから、朝一番9:45開演でも行かないわけにはいかない。
しかし、5,000人のホールで「0才からのコンサート」なので、お子様の泣き声がうるさく、音量の小さな部分は聴くに耐えなかった。
こんなことを書くと、「0才からのコンサートなのだから、子供の泣き声に文句をつける方が筋違いだろ」と非難を受けそうだが、決してそんなことはない。これは「熱狂の日」のWebサイトにも表記されていないのだが、演奏が始まる前、司会者が聴衆に向かって「3つだけ約束してください」という話をするのだ。
一つは、親御さんに向けての注意で、「どうしてもお子さんが泣きやまない場合は会場の外に出てください」というもの。もう一つは言葉のわかる子供に向けての注意で、「お父さんやお母さんとお話ししたくなっても、演奏が終わるまで待ってください」というもの。三つめは、「演奏中は場内を歩き回らないで下さい」というものだ。
この3つの約束がまもれない親は(乳幼児に罪はなく、もっぱら親の責任と考えるべきだろう)、たとえ「0才からのコンサート」といえども、本来は中座すべきなのだ。
しかし、はじめから約束など守る気のない大人は腐るほどいる。1,500円のクラシック・コンサートに珍しがって来る大人のうちの数パーセントの人々のレベルなど、その程度のものでしかない。
いちばんひどかったのは、全席指定席であるにもかかわらず、二階席の後方がすいているからといって、そこを勝手に自由席あつかいして、泣きやまない子供の避難場所にする親だ。
僕は当日券を買ったので、二階席の中ほどに座らざるをえなかった。すると演奏が佳境に入ったころ、そういうバカ親の一人が、泣きわめく子供を抱いて通路の階段を上ってきたり、子供を走りまわらせて遊ばせたりし始めるのだ。
それでも二曲目のラベルの『ラ・ヴァルス』は面白かったし、これに懲りて乳幼児のいないプログラムにも入場したが、こちらのバルトークのピアノ協奏曲第3番と、弦楽のためのディベルティメントは素晴らしかった。
くり返すが、乳幼児が突然泣き出すのは当然だし、子供たちに罪はない。問題は演奏前の約束を守れない親であり、指定席を勝手に自由席あつかいするような、約束以前の社会的不適合を示す親である。
こういう大人たちは、他人の沈黙によって保たれている会場の静寂にタダ乗りするフリーライダーなのだ。外見は大人だが、0才なのはこういった一部の親の方である。