情報システム部門原論(1)

企業の管理部門には経理、人事、総務などさまざまな部門があり、それぞれに役割がある。管理部門は利益を産み出さないので、それぞれの部門が決められた役割を果たさなければ、営利組織としては存在意義を失うことになる。
管理部門の各部門は、各部門で働く人々の専門知識や専門技術がなければ、決められた役割を果たすことができない。経理部員には企業会計、企業税務についての専門知識と実務上の技術が必要だし、人事部員には企業の人事管理、労務管理、労働関連の法制度についての知識と実務をおこなうための技術が必要だ。
同じように情報システム部員は、企業の情報システムについての専門知識と実務をおこなうための技術が必要になる。個人が趣味でパソコンをつかうのに必要な情報技術にかんする知識と、企業が情報システムを企画、構築、運用するのに必要な知識とは大きく異なる。
また、企業組織としては一部の実作業を外部の業者に委託することに費用対効果はあるが、すべての実作業を外部に委託することは事実上不可能である。その理由は、どの企業にもその組織特有の実務上の規則や慣習があり、そのうち明文化さていない部分や、その企業の中核的な競争力にかかわる部分は、外部に委託するわけにはいかないためだ。
情報システムについても同じことが言えて、外部の業者に委託できない実作業は社員がおこなうしかない。したがってすべての企業の情報システム部員は、一定の実務上の技術がなくてはならない。
たとえばパソコンをその企業の社内ネットワークに適した設定に変更する技術であるとか、その企業の社内ネットワークの運用を自動化するのに必要なちょっとしたプログラムを書く技術などである。
管理部門の社員には、すべての実作業を外部委託できないという以外にも、実務上の技術が要求される理由がある。それは外部の委託先業者を適切に管理するためである。
労務管理の知識がまったくない人事部員は、社労士との打ち合わせをすることはできない。企業税務の知識がまったくない経理部員は、監査対策のための税理士との打ち合わせをすることはできない。
同じように情報システム部員も、一定の技術知識と実務上の技術がなければ、委託先業者の仕事の品質を検査することができない。いわゆる「丸投げ」になってしまう。
以上のように企業の管理部門の構成員は、所属する部門に決められた役割に対応する専門知識と実務上の技術(=じっさいに自分で手を動かして一定の結果を産み出す能力)を持たなければならない。管理部門は単なる調整役ではないのである。