六か国協議、拉致問題が日本のボトルネック

少し前の話になるが、北朝鮮の六か国協議で、日本だけが拉致問題を理由に、直接的な経済支援に参加しなかった。ビデオニュース・ドットコムによれば、宮台真司はこの日本の意思決定は完全な失敗とのことだが、僕もこの意見に賛成する。
第一に、今回の協議で北朝鮮は、米国から経済支援が得られれば成功だったのだから、日本など初めから眼中にない。
第二に、宮台真司曰く、経済制裁が意味をなすのは、今までおこなっていた経済支援を打ち切る場合だけだ。今までもずっと制裁を続けている日本が「まだ続けるぞ」と脅したつもりでも、外交交渉上の効果はゼロである。これも当たり前のことだ。
今回支援を決めた日本以外の国々は、今回支援を決めたことによって、逆に、今後「支援打ち切るぞ!」という外交カードを手に入れたことになる。この重要な外交カード手に入れるチャンスを、日本はみすみす逃してしまったことになる。
さらに慶応大教授・金子勝氏は、北朝鮮に各国がどんどん経済支援をおこなって、同国内の経済的な枠組みを根本的に変えてしまうのが、実は独裁体制崩壊への近道になるのだと主張している。
以上のように、日本はいろいろな外交戦略をとることができるのに、結局のところ北朝鮮との外交交渉では、いつも拉致問題を理由に強硬姿勢をとりつづけるところに行き着いてしまう。
北朝鮮のような国家を相手に、拉致問題を正面突破で解決しようなどというのは、外交の専門家に聞かなくても、素朴すぎて稚拙な戦略だということはすぐに分かる。
なのに日本の政府も外務省も、拉致家族の「感情」と拉致問題に関する国民の「感情」に「配慮」するあまり、北朝鮮との外交交渉で自ら手足を縛らざるを得ない状況におちいっている。
もし日本政府が戦略的に拉致問題を棚上げするなどという戦略をとれば、それこそ参院選で大敗を期すことになることになる。だから国民の「感情」に配慮すれば、政府も外務省も北朝鮮との交渉では、手詰まりになってしまう。
結局のところ、本当に拉致問題を解決したいなら、まず北朝鮮との国交正常化するか、北朝鮮の独裁体制を内部崩壊させるしかない。いま日本がとりつづけている「兵糧攻め」は、今回の日本以外の経済支援決定で、まったく無効になった。
だとすれば日本に残された唯一の選択肢は、拉致問題を正面きって北朝鮮に問いただすことを、いったんやめることしかない。そうしない限り、拉致された人々は永久に日本に帰ってこれないだろう。
しかし日本国民は何かと「感情」をベースに意思決定する国民性があるから、こうした思い切った合理的な方針転換をすることは、まずできないだろう。つまり日本は政府も外務省も世論も、拉致問題の解決について、自分で自分の首を締めつづけるだろう、ということだ。残念なことに...。