Winny裁判:包丁職人を殺人ほう助罪にする愚

Winnyの開発者が著作権法違反のほう助罪で有罪判決を受けた。よくよく考えるとこれは信じられない判決である。
今回の判例が今後のさまざまな刑事事件に適用されると、とんでもないことになる。包丁をより握りやすいように改良した人は、殺人ほう助罪で有罪になる可能性が高くなる。超小型CCDカメラの開発者は盗撮のほう助罪で有罪になる可能性が高くなる。赤外線撮影機能のビデオカメラを再発売したら、そのメーカは刑事訴追をうける可能性も出てくる。
体内で分解されやすいアルコール飲料を開発した技術者は、飲酒運転のほう助罪で有罪になるかもしれない。詐欺に引っかかりやすい人々の心理的メカニズムを論文にして発表した心理学者は、詐欺のほう助罪で訴追されるリスクが出てくる。YouTubeの親会社であるGoogleも、著作権法違反ほう助でいつ訴えられてもおかしくない。
などなど。そもそも特定のソフトウェアを開発した技術者が、刑事で訴追されるというのは先進諸国を見ても異常事態なのだ。著作権法違反によって経済的な損害をうけたということで、民事訴訟(損害賠償請求)を受ける事例は欧米にもあるようだが、ファイル共有ソフトが刑事事件になったのは、日本だけらしい。
しかも有罪判決を受けたのだから、今回のWinny裁判は端的に日本の司法制度の異常だと言い切ってよいだろう。
どうやら、京都府警はWinnyの開発者である金子氏の協力を得つつ、Winnyで著作権法違反を犯した容疑者をつきとめたのだが、時を同じくして署員がWinnyによる情報漏えい事件を起こしてしまったために、手のひらを返して金子勇氏をスケープゴートに仕立て上げた、というのが本当らしい。警察による司法の私物化だ。
いずれにせよ、今回の有罪判決によって、日本の技術者たちが萎縮してしまうことは間違いない。自分の開発した技術がどのように悪用されるか、その影響をすべて事前に予測することなど不可能だ。
今回の警察の愚挙は、日本の技術者たちから、実用的な技術革新を生み出そうという動機付けを奪ってしまったことになる。やはり日本という国の民度はそうとう低いようだ。