楽屋話「IT業界の5年後を占う」

日経BP社からの依頼で執筆したものの、紙面の都合上(というのはおそらく本当の理由ではないだろう)ボツになった原稿を、同社の許可を得て3つに分けて掲載した。
この原稿については、初稿の段階で編集者の方から非常に厳しい意見を頂き、ボツになる予感はあった。なのでそのときすでに、ボツになったら原稿をこの「愛と苦悩の日記」に掲載すること、そして、編集者の方から頂いた意見と僕の意見の違いもここに書こうと決めていた。
原稿の方はすでに掲載したとおりだが、実はこの原稿は初稿ではなく、編集者の方の助言で書き直した第二稿だ。初稿との違いは、文中の随所に引用されている統計数値である。
初稿についての編集者の方のご意見は、客観的裏づけを欠き、筆者の思い込みだけにもとづく記事の典型だというものだった。ただ、執筆テーマが、IT業界の5年後の予想図と、5年後に向けてのSEのキャリア形成で、しかも署名記事なので、むしろ個人的な思い込みが出ている方が読者にとっては面白いのではないか、というのが僕の意見だ。
しかし編集者の方は、客観性的裏づけを欠く記事は誰も読まないという、雑誌編集の王道にあくまで忠実で、僕は原稿料のためと割り切って統計数値をいたるところに挿入したという経緯だ。
編集者の方と事前にメールで打ち合わせさせて頂いたが、その中で僕は日経BP社のIT系雑誌の記事を4つに分類した。
(1)事例紹介
(2)業界トレンドについての「客観的」分析
(3)タイアップ記事
(4)個性的な筆者によるコラム
そして僕は(1)と(4)しか読まないと書いた。(1)の事例紹介は自分の仕事に直接役立つし(他山の石!)、(4)は自分との意見の違いがすべてツッコミどころになるので、読んでいて「歯ごたえ」があるからだ。
逆に(2)のタイプの記事は客観性を救うために、誰も反論できない最大公約数的な内容になるため面白くも何ともないし、(3)は広告の一種なのでじっくり読むだけ時間のムダだ。
自分の名前が出る署名記事ということだったので、僕は(4)を依頼されたとばかり思っていたが、実際には(2)だったということになる。
自分が読みたくもない記事を書くというのは基本的に苦痛だ。原稿料のためと割り切ったつもりでも、結果としてボツになったのは、編集者の方の判断が正しかったと言える。
やはり僕は一般大衆向けの最大公約数的な記事を書くのに向いていないと実感した。(この「愛と苦悩の日記」の親サイト「think or die」に掲載している『SEに英語はいらない』についても、ある読者の方から「長すぎる」と酷評を頂いた)
それでも依頼があれば自分の知識・経験があるものは書かせて頂くし、仕事も速い(今回の原稿も実質2日で仕上げた)。それに今回はボツになったので日経BP社からは一銭も頂いていないという良心的な執筆者だ。
「IT業界の5年後を占う」をお読みになって、そんなにつまらなくもないのでは?と思われた雑誌編集者の方、執筆依頼をお待ちしております。