アフィリエイトが儲からなくなるのは時間の問題

いまインターネットの世界ではアフィリエイトが話題になっている。より正確に言えば、アフィリエイトそのものは以前からあるので、最近になってようやくテレビのニュースなどで取り上げられてメジャーになってきた、ということだろう。
アフィリエイトとはご存知のように、個人で開設したブログなどのWebサイトで、Amazonや楽天などのインターネット商店街の商品へのリンクを張っておくと、そのリンクをクリックした人が実際に商品を購入した場合に限って、売上の数パーセントがそのWebサイトの開設者の収入になる、という仕組みだ。
公序良俗に反しない内容のWebサイトであれば、Amazonなどのアフィリエイト・プログラムに申込んで断られることはまずない。なので、アフィリエイトという仕組みの存在さえ知っていれば、誰でも参加して小遣い稼ぎができる。
そして、自分のWebサイトを見た人が実際に商品を買うように仕向けるのは、それほど難しいことではない。とにかくもっともらしくその商品の良さを訴えればよいのだ。以前、テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』で紹介されていた主婦は、アフィリエイト・プログラムで月数十万円の収入をあげているらしい。
もちろん、いくら商品の良さを訴えて、閲覧者をうまくだませたとしても、そもそも自分のWebサイトを閲覧してくれる人の母数が増えないことには月数十万円の収入をあげることはできない。
お金をかけずに閲覧者を増やすには、まず検索エンジンで上位に表示されるような地道な努力が必要で、これを業界用語でSEO(検索エンジン最適化)と呼ぶ。こちらも理屈は単純で、できるだけ多くの他のWebサイトから自分のWebサイトあてにリンクを張ってもらえばいい。
ブログと呼ばれる形式のWebサイトであれば、ブログの仕組みそのものにある程度のSEO対策機能が組み込まれているので、自分で一からHTML文書を作成しているWebサイトに比べれば初めから検索エンジンの上位に表示されやすくなっている。
そしてブログのトラックバックという機能を使えば、かんたんに他人のブログから自分のブログへのリンクを張ることができる。
理屈がこれだけ単純なので、みんなが考えることは似通ってくる。お互いのブログにトラックバックをしまくって、自分のWebサイトで商品をほめまくって、商品へのリンクを張りまくれば、理屈の上ではかなりのアフィリエイト収入を上げることができる。
しかし、他のやつらに儲けさせてたまるものかと考えるのもまた当然で、自分のWebサイトにトラックバックをさせない設定にしたり、自分の承認がなければトラックバックできない設定にしたりするブログ開設者が増えている。
また、商品数がたくさんあると言っても、売れ筋の商品は限られているので、それらの商品について自分のブログでほめちぎって、リンクを張る人が増えてくれば、当然、一人当たりのアフィリエイト収入はどんどん減っていく。
要するに、『ワールドビジネスサテライト』で紹介されていたような、月数十万円のアフィリエイト収入をあげる主婦が出てくるというのは、あくまで過渡的な現象に過ぎないのだ。みんながこの小遣い稼ぎの仕組みを知って、われもわれもと参入してくれば、そのうち誰も大して儲からないという状況になる。
儲からないのであれば、苦心して商品をほめちぎる文面をひねり出し、毎日のようにブログを更新することもないだろうということになり、やめてしまう人と、それでも続ける人と、ある均衡点に達するだろう。その均衡点は、いってみれば、アフィリエイト対応のブログを更新するという「仕事」に対する、適正な賃金(アフィリエイト収入として支払われるわけだが)になる。
この賃金がいくらに落ち着くかだが、誰でも参入できるという参入障壁の低さを考えると、かなり低い金額に落ち着くのではないかと思われる。時間があって小遣い稼ぎ程度になればよいという専業主婦なら続くかもしれないが、「ネット上の『口コミ』マーケティングが、これからの一般消費財マーケティングの鍵だ」などというのは、日本経済新聞の一面連載などにありがちな誇大妄想だろう。
それに、アフィリエイトが自己目的化すると、自分では使っていない商品や、何とも思っていない商品を、さも素晴らしい商品であるかのように書いたり、もっと悪い場合は粗悪品を良品であるかのように宣伝して、アフィリエイト収入を上げようとする人も出てくるだろう。
たぶんすでにこういう兆候は出ているはずだし、ブログ上に誇大広告が氾濫するのも時間の問題だ。ブログで個人がいくら誇大広告めいたことを書いても、おそらく現在の法律はその個人を処罰することはできないだろう。
結果として、アフィリエイト・プログラムに参加しているブログは、だいたいが眉唾ものだ、インターネット上の口コミ情報は大して信用できない、といった考え方が、インターネット社会の常識として定着するだろう。これも時間の問題だ。
そうなったとき、アフィリエイトに関しても、インターネット上のどの情報が信用できて、どの情報が信用できないのかという、古くて新しい玉石混交問題が現れる。そして権威主義と対面コミュニケーション重視の日本では、最終的には、一定規模の企業の書いていることか、ふだんからメールなどのブログ以外の手段で密にコミュニケーションをとっている人の書いていることしか信用しなくなる。
これはLinuxを大手コンピュータメーカが正式にサポートし始めて、ようやく日本企業の社内システムに利用されるようになったのと同じだし、日本では依然としてYahoo!JAPANがインターネットへの入口としてGoogleよりも優位に立っているのと同じだ。
『ワールドビジネスサテライト』のような番組が、アフィリエイトで月数十万円儲ける主婦を取り上げるのは、このプロセスを早めることにしか役立たない。新しい儲け話は、最初にそれを知った人たちに一時的に儲けをもたらすだけで、そのうち大して儲からなくなる、というのは、アフィリエイトに限った話ではない。
そして、アフィリエイトで儲けている人たちにとって真の恐怖となるのは、検索エンジンのページランクの仕組みが変わることだろう。
そろそろGoogleやYahoo!などの検索エンジンで、ブログばかりが検索結果の上位に表示されることが問題になってきている。国内検索エンジン大手のgooはブログを検索結果から排除する機能を発表したらしい。Googleの技術力があれば、ブログの検索順位を意図的に落とすことくらいいとも簡単にやってしまえるだろう。
そうなるとアフィリエイトを始めようとする人たちにとって、自分のブログを見てくれる人の母数を増やすという大前提を実現することが、とても難しくなってくる。そもそもアフィリエイトで収入をあげるという「ビジネスモデル」そのものが成立しなくなる。
結局のところ、Googleなどのように革新的な技術を商品として提供しつづけられる人や組織でなければ、参入障壁の低いインターネットの世界で儲けつづけることはできないのだ。

アフィリエイトが儲からなくなるのは時間の問題」への0件のフィードバック

  1. enchanting an air of joyous bliss

    アフィリエイト

    think or dieさんの"愛と苦悩の日記"の"アフィリエイトシステム"に関する記事を読んだ。
    "アフィリエイトシステム"はいわゆる"レモンの原理(悪貨は良貨を駆逐する)"で自壊すると主張されている。
    私は"アフィリエイト自壊論"にほぼ同意するが、もうちょっと別の可能性を考えてみた。
    "悪貨は良貨を駆逐する"の状況になるのは売り手と買い手に情報の非対称性があるからだと、ミクロ経済学は教えてくれる。
    だとしてら、売り手と買い手双方に正しい情報�…