『無敵超人ザンボット3』第17話「星が輝く時」より

『無敵超人ザンボット3』第17話は「星が輝く時」というタイトルで、第16話「人間爆弾の恐怖」に登場した人間爆弾は、一話完結のお約束に従って既に解決済みのものと思って見たのだが、予想に反して第16話よりも人間爆弾の悲劇の描写が異常にリアルだった。ちょっと気が滅入ってしまうほどだ。

人間爆弾というのは、異星人ガイゾックが効率よく低コストで地球人を殲滅するために、人間の体内に時限爆弾を埋め込んで元の生活に戻し、周囲の人間を爆破の巻き添えにして殺害するという、子供向けロボットアニメとしては、少し残酷すぎやしないかと思われる設定だ。
第17話ではさらに、異星人ガイゾックが難民キャンプと見せかけて避難民を収容し、本人に気づかれないようにつぎつぎと時限爆弾を埋め込んでいくという展開になっている。人間を自爆兵器に改造する工場を、難民キャンプに偽装しているわけだ。
そして静岡から逃げ延びて来た神勝平の友人たちも、その罠にはまって偽装キャンプに収容されてしまう。そして友人たちのうちの2人が、ある日警備兵に部屋から連れ出され、気づかぬうちに体内に時限爆弾を埋め込まれてしまう。背中にある星型の傷がそのしるしだったのだ。
神勝平たちはなんとかその偽装難民キャンプを破壊することに成功するが、埋め込まれた時限爆弾を取り出す方法がない。自分の体に爆弾が埋め込まれていると知った他の難民たちも、人々を自分の爆破の巻き添えにしないために、家族のもとを離れて海岸に向かって歩き出す。
以下、第17話の最後の場面の脚本を映像から書き起こしてみる。かなり悲惨な場面なので、何かで気がふさいでいるときには、お読みにならないように。僕個人は、有名なテレビドラマ『私は貝になりたい』で十三階段を上るフランキー堺の芝居を見たとき以来の陰惨な印象をうけた。
勝平の友人・浜本 「だから、俺だって、いつ爆破しちまうかわからねぇんだ」
勝平 「キングビアルにも、爆弾を体から抜き出す方法の記録なんてないんだよ。ごめんな」(浜本の肩を抱いて泣く)
浜本 「いいって、もう。こうしているうちに爆発しちまうといけねぇ。あばよ」
(中略)
浜本 「人のいないところに行くよ。最後ぐらい、カッコよくさせてくれよ。えへっ。えへへへっ」(後ろ姿で勝平たちをふり返ることなく立ち去っていく。そして他の人間爆弾にされてしまった避難民と合流し、海岸の方へ歩いていく。勝平たちはその後ろ姿をただ見送るしかない)
(中略)
浜本 「どうせ、父ちゃんも母ちゃんも、いなくなっちまったんだ。俺だってすぐに母ちゃんとこへ...。うっ...俺っ...いやだ...。母ちゃんも父ちゃんもいないとこで死ぬなんて...独りで死ぬなんて...いやだ!いやだぁ!いやだぁ!」
人間爆弾となった難民A 「誰か止めんか。爆弾になったものを人様のとこへやるでない!」
浜本 「いやだぁ!!こわい!!こわいんだ!父ちゃん!父ちゃん...母ちゃん...。こわいよぉ!!母ちゃん、助けて!!助けてよぉ!何でも言うこと聞くからよぉ!!母ちゃん!父ちゃ~ん!」(浜本の体が星型に光った後、大破する)
そう、この第17話の「星が輝く時」という題名は、勝平の友だち浜本が人間爆弾にされ、爆破される瞬間のことを言っているのだ。