ますます絶望的になる『ザンボット3』の展開

富野喜幸監督のロボットアニメ『無敵超人ザンボット3』(1977年)はようやく全話の3分の2ほどまでたどり着いた。異星人は北海道を除く日本列島をおおかた壊滅状態に追いやり、生き残った日本人は難民となって北海道へ移住を強いられている。
主人公であり、ザンボット3をあやつる3人のリーダ、神勝平(じん・かっぺい)の友人たちも、戦災で肉親を次々と失いながらも何とか都市郊外の難民キャンプで生き延びているといった物語の展開になっている。
地球人類の殲滅を狙う異星人は、人間を捕獲してその体内に爆弾を仕込み、都心の地下鉄や飛行機に乗り込ませて自爆させる。現代のテロリズムを連想させて、子供向けの合体ロボットアニメにふさわしくない恐ろしい現実感がある。
ただ、一方で異星人の謎の支配者ガイゾックの手下として、日本の壊滅を狙うキラー・ザ・ブッチャーは、残忍な悪役に似つかわしくないコミカルなキャラクターとして描かれていたり、何より主人公の神勝平の子供らしい負けん気や、底抜けの楽天主義が、このどんどん陰惨になっていく物語を、辛うじて子供向けのロボットアニメとして成立させている。
家族と離れたため、神勝平に憎悪の視線を向けていた例の親友も、東北まで避難する途中で拾った、戦災で両親を失って失語症になった少女をザンボット3に救ってもらうエピソードで、ようやく神勝平と和解することになる。この回では、『ザンボット3』を観はじめてから初めて泣いてしまった。
小さな和解に涙してしまうくらい、この『無敵超人ザンボット3』が描写する地球の状況というのは、坂を転げ落ちるように絶望的になっていくのだ。異星人が次々送り出す怪獣ロボット(メカ・ブースト)との戦いは終わりがないように思えてくる。もう日本人にとって逃げ場は北海道しか残っていないのであれば、日本が全滅するのも時間の問題ではないか。
キャラクターのコミカルさにもかかわらず、『ザンボット3』の物語が全体として暗い陰を落とすのは、やはり戦禍に巻き込まれる一般人の死や苦悩、戦争に対する憎しみを、毎回必ずといっていいほど執拗に挿話として描いているためだろう。
残り3分の1は一体どのような物語の展開になるのだろうか。
ちなみに、コメントが物語に集中しているのは、作画やメカデザイン、動画上の演出について特筆すべき点がほとんどないためだ。ロボットの合体シーンや、怪獣ロボットとの戦闘シーンは倍速で飛ばしながら観ている。