『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』

『戦闘美少女の精神分析』の中で触れられていたが、一度も観たことがなかったので劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(1984年8月公開)をDVDで観た。テレビ版とは物語がすこし違うらしいが、テレビ版を全話観ている暇などない。
1984年というのは『風の谷のナウシカ』が劇場公開されたのと同じ年らしい。最後のクレジットで原画担当が庵野秀明であることを初めて知った。言われてみれば、『トップをねらえ!』のタカヤノリコの面影が、女性キャラクターにないでもない。
ところで『交響詩篇エウレカセブン』では、空中戦の複数のミサイルの弾道を後ろから高速で追いかける目線のカメラが印象的だが、本作『マクロス』にも同じ描写が頻出する。『マクロス』や庵野秀明の『DAIKON IV』以前にもこの印象的な描写は存在したのだろうか。ここまで来ると、起源をきっちり調べたくなってしまうが、ご存知の読者の方がいらっしゃれば是非お教え頂きたい。
主人公の少年・一条輝と、アイドル歌手・リン・ミンメイ、早瀬美沙のきわめて個人的な三角関係に、要塞マクロスで地球から脱出した人類の命運が左右されるという、よく考えなくても荒唐無稽な設定が、廃墟となった地球を通した「美しい過去」への郷愁とともに、大真面目に物語られるので、僕としてはどう受け取ればいいのかとまどってしまう。
男女の性別役割についても笑ってしまうくらい素朴なステレオタイプが描かれているし、この点では端的に他愛のないアニメーション作品だと評価せざるを得ない。
『戦闘美少女の精神分析』の中では、リン・ミンメイの歌声が人類の命運を左右するほどの力を持つということで、強大な力を秘めた無邪気な戦闘少女の原型の一例として、リン・ミンメイが紹介されている。
リン・ミンメイ役の声優・飯島真理は、名前だけは聞いたことがあったのだが、歌う声優アイドルの先駆なのだろうか。声優としては『マクロス』のリン・ミンメイがほぼ唯一の経歴のようで、米国人と結婚して現在は米国在住らしい。
しかし公式Webサイトを読むと、2006/07/09~10の2日間、渋谷クラブクアトロでライブを行うらしい。おそらく劇場公開から20年以上たった今も、リン・ミンメイの歌声を聴きたいという『マクロス』ファンが根強く存在するということなのだろう。
小学生の頃、松本零士に熱中した後、ぷっつりアニメーションとの交渉が絶えてしまった間に、『ガンダム』があり、『マクロス』があり、『トップをねらえ!』があり、つまり僕は今の日本のアニメーションを成り立たせている背景となっているものの手がかりを、完全に失ってしまっているということに改めて気づかされれる。
その状態で『交響詩篇エウレカセブン』がどうのこうのということを書くのは、やはりおこがましいことなのかもしれない。