『エウレカセブン』に不覚にも「思い出し泣き」

■お笑い番組が好きな僕は、たまに強烈なギャグに思い出し笑いすることがあるが、「思い出し泣き」をしたのは、たぶん今回が初めてだと思う。
USENのブロードバンド放送「Gyao」で2006/04/10まで『交響詩篇エウレカセブン』第1話~25話が「エウレカセブンラリー・Trace ray=out25」と称して無料放送されていた。第14話あたりからの重苦しい展開に夢でうなされながらも、第20話まで何とか無料で観ることができた。第20話まで観ると残りを観ないわけには行かなくなり、まさに制作側の思う壷、続きをUSENの「ShowTime」で観ているところだ。
こうして一話ずつじっくり観ても、今まで書いたことを訂正する必要はないと感じた。『少女革命ウテナ』のような作品がアニメでしか表現できない極限を追求しているのに対し、『交響詩篇エウレカセブン』はやはり教養小説的でオーソドックスなドラマである。
ただ、今まで書いたことに付け加えるとすれば、オーソドックスなドラマとしては非常によく出来ている。出来すぎなくらいだ。例えばビームス夫妻と主人公の少年レントンの出会いから別れまで(第22話から第28話)はこの部分だけでも一編のドラマとして見る価値がある。残念ながら背景を理解するには第1話から観る必要があるので、この部分だけ切り出してご覧になっても殆ど意味が分からないかもしれない。
戦艦「月光号」の仲間たちに見放されたと思い込んだ少年レントンは、絶望して黙って戦艦を立ち去り、行き着いた街を放浪する。寝ている間に荷物を盗まれ、無一文になったレントンは偶然ビームス夫妻に助けられる。
夫妻はレントンを実の息子のように温かく迎え、それまでの戦闘で傷ついた心を癒されたレントンは、養子として平穏に暮らすことを考え始める。レントンは幼い頃に父母を亡くし、母代わりの姉に育てられた子供だった。ビームス夫妻はレントンにとって、初めて父さん、母さんと呼べる存在だったのだ。
ビームス夫妻もレントンを息子として育てていこうと決める。夫チャールズの妻レイは、過去のある出来事のために子供ができない体になってしまった。チャールズはそれを知った上でレイと結婚したのだった。
しかしレントンが月光号の乗組員であること、そして少女エウレカとともに人型ロボット「ニルヴァーシュ Type ZERO」を操縦していることを告白すると、夫妻の顔色が変わる。チャールズ夫妻は月光号と敵対する軍の傭兵であり、エウレカとニルヴァーシュの奪取を任務としていたからだ。そしてチャールズは月光号のリーダ・ホランドと、かつては同じ軍隊の盟友だった。
真実を知ったレントンはエウレカを守るために月光号に戻ることを決意し、チャールズは自分たちの戦艦から去るレントンを送り出す。妻のレイはせっかく手に入れた「息子」との三人の幸福な生活が、もろくも崩れ去ったことに慟哭する。しかしチャールズと果たすべき任務に変わりはなかった。チャールズはレントンと対決することになると知った上で送り出したのだ。そしてレイが子供を産めない体になったのは、実は人間ではない特殊な生命体であるエウレカが引き起こした、大規模な超常現象の影響だった。
月光号にもどったレントンはビームス夫妻の作戦を明かすが、それは対決を何としても避けたい思いからだった。しかしビームス夫妻は月光号に生身で侵入するという強襲をかけ、月光号のリーダ・ホランドは至近距離での銃撃戦の末、かつての盟友チャールズを射殺する。妻レイはチャールズがあらかじめ飲み込んであった時限爆弾が爆発し、チャールズの体が大破するすきに逃亡する。
数日後、レイは再び月光号に一人で奇襲をしかけてくる。ひとときでも父親と呼べた人を目の前で殺されたレントンは、交戦を避けようとレイに呼びかけるが、エウレカへの復讐を心に誓ったレイは聞く耳を持たない。
月光号は激しい交戦の末、ついにレイの戦艦を大破させ、レイは墜落する戦艦の中、ちぎれて吹き飛んだ自分の左腕のところまで這っていく途中で力尽きる。その左腕の薬指には、あのとき病院のベッドで、自分が子供ができない体になったことを知りながら、明るくプロポーズしたチャールズがはめてくれた指輪が、まだしっかりとはまっていた...。
ちなみに僕が「思い出し泣き」をしたのはビームス夫妻とレントンの逸話とは直接関係のない、第24話のとある場面なのだが、分かった方はトラックバックを頂きたい。(と言ってもこのブログの読者にそんな暇な方はいないだろうが)