『最終兵器彼女』『機動戦艦ナデシコ』『ガンダムSEED』『ああっ女神さまっ』

■先日も書いたように僕の今年の抱負の一つは、アニメーション嫌いを克服して、サブカルチャーとしての最近の日本アニメーションをしっかりフォローすることでだ。と言いながら、小学生の頃は松本零士作品と『幻魔大戦』にどっぷり耽溺していたのだから、アニメーションに溺れる素質は十分に持ち合わせている。
もちろん『少女革命ウテナ』や『フリクリ』など、まともな批評に耐えうる作品はもちろんのこと、客観的な評価とは無関係に、清濁併せ呑む覚悟で様々な作品を見なければということで、ブロードバンドテレビ、レンタルDVDを含め、節操なく見始めている。
USEN&楽天グループが運営しているShowTimeというブロードバンド・テレビのWebサイトでは、第一回だけ無料で視聴できるアニメーション作品がいくつか公開されている。そこで見てみたのが『最終兵器彼女』の第一回、『舞-乙HiME』の第一回、『D.C.~ダ・カーポ~』の第一回。
『D.C.~ダ・カーポ~』は「萌え系ハーレムもの」とでも表現すればいいのか、ちょっとついていけないので第一回で十分。『舞-乙HiME』は、これもよくありがちな、特殊能力を持った少女たちの戦闘ものだが、戦闘描写が痛快でメカデザインも良いので、無料ならもう少し見てみたい。
『最終兵器彼女』は平凡すぎる日常が突然血塗られた戦場と化す、考え方によっては日本人にとってもリアルな設定が、「戦闘機械化する彼女」という隠喩と並行関係になっているアイデアが興味深かった。時間があれば第二回以降も見てみたいが、このまま単なる「大きな陰謀が明かされ、地球平和のために立ち向かう」式の物語に終わるなら見る価値はなさそう。
また、有料であっても1回あたり105円なら一度見ておこうと思って見たのが、タイトルからして『宇宙戦艦ヤマト』のパロディであることがとっても分かりやすい『機動戦艦ナデシコ』だが、第一回を見る限りではもう十分という気がした。しかし僕でも題名を知っていたほどヒットした作品なので、最後まで見ればそれなりに楽しめるメタフィクション的な要素があるのかもしれない。
そしてレンタルDVDで見たのが『ターンAガンダム』と見比べるための『ガンダムSEED』と、こちらも題名だけ知っていた『ああっ女神さまっ』。
『ガンダムSEED』は1話ずつ見るのも時間の無駄なので、『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 虚空の戦場』の中ほどまで見た。まだ2話めまでしか見ていない『ターンAガンダム』と比べると、作品世界の格調が数段落ちるが、『交響詩篇エウレカセブン』と同様、お子様向けにちょっと大人の事情の複雑さを垣間見せる味つけと(「コーディネイター」のキラ・ヤマトがザフト軍所属の親友アスラン・ザラと戦うことに苦悩したり、フレイ・アルスターが地球連合軍に志願するあたり)、単純にカッコいいロボットものとしては楽しめるのだろう。
ところで、きっと女性の同人誌作家はキラ・ヤマトとアスラン・ザラの同性愛モノを描いているに違いない。インターネットで検索して確認しなくたってわかる。賭けてもいい。
そして『ああっ女神さまっ』の方は、題名だけから想像して宇宙ファンタジー系の作品なのかと思ったら、ただの『奥様は魔女』の焼き直しだった。きわめて従順な性格ながら特殊能力を持ってベルダンディーが森里螢一のピンチを救うというのは、非常に典型的な男に都合のよいヒロイン像の反復だ。
このまま本当に単なる『奥様は魔女』の焼き直しで終わるなら見る価値無しだが、こちらも僕でさえ題名を知っているほどヒットしているのだから、何かメタフィクション的な展開があるのかもしれない。でも第3回で十分。もう見る気はしない。
ただ、こうしてこきおろしているからといって、この種のアニメーション作品に僕が愛情のかけらもないわけではない。映画と同じようにB級作品にはB級作品なりの楽しみ方がある。今日もTSUTAYAに行って今まで立ち入ることがほとんどなかったアニメーションのコーナーを歩き回ると、この種のB級と思われる作品のDVDが無数に存在する。
今なお再生産され続けるこれらの「もう一つの現実たち」がこれほどの数だけ存在するのなら、もしかすると、「現実が夢で、夢が現実だ」と意図的に思い違いをし続けたまま、死ぬまで生き続けることさえできるのではないかとさえ思えてくる。酒もギャンブルも嫌いな人間にとって、低コストで健康被害ない現実逃避の手段として、B級アニメーションは悪くないかもしれない。