第42回文藝賞受賞作・三並夏『平成マシンガンズ』

■先日、史上最年少の15歳で第42回文藝賞を受賞した三並夏著『平成マシンガンズ』(河出書房新社)を読んだ。
話者である中学三年生の「あたし」から見れば、自分をとりまく人間関係は自力では制御できないものとして描かれる。それに対峙する象徴的として少女の夢の中に登場するマシンガンが対置されているが、それはそのまま小説家としての三並夏が自らを取りまく世界と対峙するために手にとった「武器」である「小説」と重なっている。
この小説は、三並夏にとって「小説とは何か」ということについて書いた小説であり、「小説についての小説」、メタフィクションとして読まれるべきものだ。十五歳の少女が社会に対する不平不満をただ単にぶちまけて、最後はオトナ的妥協をする物語という読み方は一面的である。そういう読み方をする読者に、この小説を評価する資格はない。
小説とはつねにあらかじめ構想された物語を時系列にしたがって語るための単なる手段で、小説の面白さはそのストーリーにある。小説をこんな風にしか読めない読者は、三並夏がこれから先、世界と対峙するための言葉としての小説について、どのような小説を描く可能性を秘めているかを期待する楽しみさえ失っている。
この小説について語られるべきは、「十五歳のわりにすごい小説を書くなぁ」「十五歳らしく下らない小説だなぁ」という月並みな感想ではなく、十五歳にして小説についての小説を書く一つの視点を手に入れてしまった彼女が、これからマシンガン以外のどのような展開を見せてくれるかということへの期待であるはずなのだ。

第42回文藝賞受賞作・三並夏『平成マシンガンズ』」への0件のフィードバック

  1. つれづれぐち

    感想:「平成マシンガンズ」

    今回からちょこちょこと自分の表現力向上(?)のために、 本の感想を書いてみようと

  2. つれづれぐち

    感想:「平成マシンガンズ」

    今回からちょこちょこと自分の表現力向上(?)のために、 本の感想を書いてみようと