中途採用者を見くだす社風

■これまでいくつかの会社に正社員として転職しているが、中途採用者にどういう態度で接するかは千差万別だ。ひとつ言えるのは、社内のさまざまな業務がどれだけ標準化されているかと、中途採用者に対する寛容さには、相関関係があるということだ。
部署ごとの特殊な業務手順を許さず、できるだけ全社統一の規則にしたがって仕事を進めようという考え方が、会社のすみずみにまで徹底されている会社は、中途採用者をうけいれる準備ができた会社だと言える。
逆に、それぞれの部署が自分たちの業務手順に誇りを持ち、現時点ではそれが最適だと考えている度合いの強い会社は、中途採用者をあからさまに新参者としてあつかう傾向がある。
そもそも会社ができたばかりで、業務手順が固まっていないような会社が、中途採用者をうけいれやすいのは言うまでもないが、創設以来の歴史が長いからといって、かならずしも中途採用者に冷たいとも言えない。業務の標準化に絶えずとりくんでいる会社は、たとえ古い会社でも中途採用者をうけいれやすい。
僕のこれまでの転職経験では、某化学繊維メーカの100%情報システム子会社が、もっとも中途採用者に冷たかった。たとえて言えば、移民に対して徹底した同化政策をとっている国家のような感じだ。
彼らは決して中途採用者を悪意ではじき出そうとしているわけではない。ただ「この会社に入ったからには、この会社固有の文化に染まるのは当然だ」と信じて疑わない社員ばかり、というだけのことだ。
その結果として、三十歳を過ぎた中途採用者の僕は、同じ年令の経理部員から「~君」とクンづけで呼ばれ、会議資料を一人ひとりに配ってまわったとき、高圧的に「どうもありがとう」と感謝されるという経験をした。中途採用者を見下すのは当然、という考え方が、これまた当然のこととして存在していた、そんな会社だった。
もう一つ、中途採用者を無意識のうちに排除してしまう会社として、オーナー経営者の影響力が強すぎて、社風がほとんど新興宗教的な強烈さをもっている会社がある。こういうドぎつい社風の会社も、中途採用者にとってはいくら好条件を提示されても、あまり入りたくない会社である。
今後、団塊の世代がいっせいに定年をむかえ、三十代、四十代の中堅層労働力はますます流動化し、3、4回の転職は当たり前という世界になるだろう。そうなったとき、中途採用者を一段下に見るのが当たり前という社風の会社や、オーナー経営者の強烈な社風をもつ会社が、優秀な中堅層を外部から獲得できないだろうことは間違いない。
労働力の流動化に合わせて、それぞれの企業も入社の敷居を下げるための努力を強いられるのではないかと考える。