最初で最後の恋

■今日、モスバーガーでお昼を食べていたらかなり面白いことがあった。となりの席に向かいあってすわる、大人しめのファッションの15歳高校一年生の女子ふたり。ひとりが、たまたま同じ体育係になった先輩の男子によせる思いを語る。「ほんと。なんていうか。気づいたら好きになってたっていうか。こういう感じって、今までなかった感じで。何て言ったらいいのかわかんないんだけど。これって何なんだろうね」。するともうひとりが、その告白を聞いて興奮をおさえられない様子で言う。「それって運命だよね。だって体育係にならなかったら、出会ってなかったわけだし」「すごい。ほんとだよね。もし中学のときに出会ってても、たぶんこんな気持ちにならなかったと思うし」。
ひとりの告白を、もうひとりが盛り上げるうちに、ふたりの妄想はエスカレートしていく。「ねぇ、何歳ぐらいに結婚すると思う?っていうか、何歳に結婚したい?」「わかんないけど、30歳までには結婚したいよね」「あのさあのさ、もしその人に『高校卒業したら結婚してくれ』って言われたらどうする?」「『うん』」「うわぁ~」「もうこんな気持ちになることって、ないかもしれない」「それって初恋って言うのかな」「たしかに今までも気になる人はたくさんいたけど、こんな気持ちは初めてだし」「初恋だよね」「うん。最初で最後の恋かも」
他人の会話をとなりの席で高橋源一郎『ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』(集英社)を読みながら盗み聞きし、書きとめるというのは、あまり上品なことと言えないかもしれないが。