とりとめもなく書きとめる

■男はかつて、頭にふと浮かんだことをよく文字として書きとめたものだった。しかし近ごろでは、そうしたとりとめのない考えは文字どおりとりとめもなく流れ去り、気づいたときには、たしか何かを考えていたはずだという、痕跡のようなものしか残っておらず、書きとめようにも書とめることができないのだった。